武士道よりも商人道が日本を救う:日本の「安心」はなぜ消えたのか
ほぼ日で糸井重里さんが絶賛していた本。
さらに、著者の山岸俊男教授と糸井さんの対談も「やっぱり、正直者で行こう」というタイトルで連載された。
昔、山岸俊男教授の「安心社会から信頼社会へ」を読んで、
ネットを使った実験が持つ面白さとか、ゲーム理論とか、さまざまなことを学んだのだけど、
今回は、そういう知の先端の持つ面白さではなく、学問が持つ力で世の中を考えること、
当たり前だと思ってしまうのではなく、本当にそうかを「学問」を下地に、
さらに言うと「科学」的思考を下地に自分の頭で考え続けることの重要さを学んだ。
山岸教授の考え方は、回りくどい。ちょっと日本人離れしている。
空気を読んで短絡しない。
よく考える。そして、なぜかを導きだす。
すると、当たり前のことが、当たり前ではないことを前提にしていたり、
みんなが何となく「そうなんじゃないかな」と思っていることが、
ちっとも「そうではない」ことが明らかになってきて、ちょっとびっくりする。
そのびっくりさせられる感じが快いのだな。
今回は、「武士道」や「品格】では、日本は良くならない「理由」が書いてある。
そして、「情けは人のためならず」という商人道が、「信頼社会」を回復し、
日本の行く末に重要なのだということが、いろいろな方向から書いてある。
だから、商人道なのだ。
武士道は、「情けは人のためならず」ではないからである。
回り回って、自分に帰ってくると考えれば、嘘はつけない。
しかし、お家大事で、大義のためには己を捨てなければならず、世間体を保つ為に腐心する
と言った武士道がある限り、企業は、消費者に嘘をつくのだ。
企業が、商人道ではなく、武士道を基本とする限り、不正は無くならない。
だから、武士道をすてて、商人道なのだ、という極論もまた日本人的だけど、
それでは、結局枠組みが変わっていない。
いじめ問題であろうと、企業スキャンダルであろうと、
「心の持ち様」とか「モラル」の問題として解決しているから繰り返されるのであって、
「仕組み」「システム」として、起こしては行けないことを起きにくくする工夫がされるべきなのだ。
例えば、いじめは無くならない。でも、いじめを許さない行動を起こせば、いじめは減少するし、
いじめによって死ぬ子供は減る。問題は、いじめを隠蔽し、いじめ行動を傍観することだ。
そういう、何が問題で、どこを変えるべきかが、本書には例示されている。
心を変えるのではなく、行動を変えるべきで、それには心理学は役に立つ。
心理学では、人の心は変えられない。
人の心がわかれば、心を先回りして行動を変えることが出来るだけである。
その結果、「正直者が得をする】社会を作ることで、
信頼社会が生まれ、安心社会の不安定さを乗り越えることが出来るのだと言うのが、
本書の主張なのだけど、その辺をどう読むかは、下記の本を参考にしてほしい。
とにかく、品格という言葉にうさんくささを感じていた方にはおすすめします。
山岸先生の本で、私は下記を読み、膝を打ちました。
さらに、著者の山岸俊男教授と糸井さんの対談も「やっぱり、正直者で行こう」というタイトルで連載された。
昔、山岸俊男教授の「安心社会から信頼社会へ」を読んで、
ネットを使った実験が持つ面白さとか、ゲーム理論とか、さまざまなことを学んだのだけど、
今回は、そういう知の先端の持つ面白さではなく、学問が持つ力で世の中を考えること、
当たり前だと思ってしまうのではなく、本当にそうかを「学問」を下地に、
さらに言うと「科学」的思考を下地に自分の頭で考え続けることの重要さを学んだ。
山岸教授の考え方は、回りくどい。ちょっと日本人離れしている。
空気を読んで短絡しない。
よく考える。そして、なぜかを導きだす。
すると、当たり前のことが、当たり前ではないことを前提にしていたり、
みんなが何となく「そうなんじゃないかな」と思っていることが、
ちっとも「そうではない」ことが明らかになってきて、ちょっとびっくりする。
そのびっくりさせられる感じが快いのだな。
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今回は、「武士道」や「品格】では、日本は良くならない「理由」が書いてある。
そして、「情けは人のためならず」という商人道が、「信頼社会」を回復し、
日本の行く末に重要なのだということが、いろいろな方向から書いてある。
だから、商人道なのだ。
武士道は、「情けは人のためならず」ではないからである。
回り回って、自分に帰ってくると考えれば、嘘はつけない。
しかし、お家大事で、大義のためには己を捨てなければならず、世間体を保つ為に腐心する
と言った武士道がある限り、企業は、消費者に嘘をつくのだ。
企業が、商人道ではなく、武士道を基本とする限り、不正は無くならない。
だから、武士道をすてて、商人道なのだ、という極論もまた日本人的だけど、
それでは、結局枠組みが変わっていない。
いじめ問題であろうと、企業スキャンダルであろうと、
「心の持ち様」とか「モラル」の問題として解決しているから繰り返されるのであって、
「仕組み」「システム」として、起こしては行けないことを起きにくくする工夫がされるべきなのだ。
例えば、いじめは無くならない。でも、いじめを許さない行動を起こせば、いじめは減少するし、
いじめによって死ぬ子供は減る。問題は、いじめを隠蔽し、いじめ行動を傍観することだ。
そういう、何が問題で、どこを変えるべきかが、本書には例示されている。
心を変えるのではなく、行動を変えるべきで、それには心理学は役に立つ。
心理学では、人の心は変えられない。
人の心がわかれば、心を先回りして行動を変えることが出来るだけである。
その結果、「正直者が得をする】社会を作ることで、
信頼社会が生まれ、安心社会の不安定さを乗り越えることが出来るのだと言うのが、
本書の主張なのだけど、その辺をどう読むかは、下記の本を参考にしてほしい。
とにかく、品格という言葉にうさんくささを感じていた方にはおすすめします。
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