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大学は世間を知らず、世間は大学を知らない:「大学版PISAの脅威」

大学を卒業して四半世紀近く、大学は遠くで思うものになっている訳だけど、
大学時代の人間関係は大事にしなくちゃね。

というわけで、大学の先輩の著書を紹介しないわけにはいかない。
大学版PISAの脅威大学版PISAの脅威
黒木 比呂史

論創社 2008-11
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大学版PISA という言葉であぶり出しているけれど、
教育機関としての大学の今を知るには最適の一冊。

目次(著者の奥様のブログよりコピペ)

まえがき

第1章 PISAが与えた「教訓」
 偏差値とは何か
 広辞苑に偏差値の意味が登場したのは第4版から
 成績比較の客観性に優れている偏差値
 偏差値が悪者扱いされた理由
 PISAの全項目で順位が低下
 主要教科の授業が増える「新学習指導要領」
 無答率(答を書かない)の高さは大問題
 自分の意見を的確に表現する力の養成が急務
 「知識量」よりも「活用力」に課題あり
 知識と活用のバランスが重要

第2章「大学版PISA」がスタートする
 OECD事務総長が非公式教育大臣会合で提案
 文部科学大臣が参加の意思を表明
 OECDが「大学版PISA」を実施する意義
 大学に「投資」する際の資料になる
 「収入」の七~八割を学費に依存する体質からの脱却
 東京大学の「寄付講座」と「信託基金」
 社会経験の有無が得点に反映される!?
 アメリカの試験実施機関が問題作成を担当する可能性犬
 批判的思考力、問題解決能力などを問うCLA
 GREはアナリティカル・ライティング・セクションに要注目
 英語での出題に耐えられるか
 従来の「世界大学ランキング」の状況
 国際的な「格付け」低迷で「頭脳流出」が若年化!?
 定員割れ大学は二六六校。「二極分化」も進行
 入試科目の軽減が生んだ「補習」の実施
 AO入試の「功罪」
 大学教員の過半数が学生の基礎学力に危機感を抱く
 世界標準の力を問う入試への変化が望まれる

第3章 真面目な大学生の増加は歓迎すべきか
 大学生の授業出席率が上昇
 ICカードで出席を管理。「代返」は死語に
 退学勧告もありえるGPA制度
 シラパスの充実とFD活動の活発化
 キャップ制やTA制度の導入が進行
 「学生」が「生徒」化している!?
 新大学設置基準で「一般教養軽視」にシフト
 「履修モデル」を時問割と勘違いする学生
 「保護者主導型」の大学受験になっている
 「一般教養軽視」に産業界からも不満の声
 「教養教育改革」に取り組む動きも
 卒業生の質を保証する「スタンダード科目」の設置も
 国立大学の教養教育改革
 外部専門学校と連携して資格取得をサポート
 「役に立つ」という言葉が大好きな日本人

第4章「大学版PISA」に対応できる教育の先例
 重箱の隅をつつく知識問題が今も多出
 大学の「作問能力」が低下している
 入試問題作成を専門とする組織が必要
 中学入試がPISAを意識した出題傾向に
 産業界出身の教員が半数を占める金沢工業入学
 プロジェクトデサイン教育と夢考房
 外部の人材を積極的に登用した立命館大学のスカウト力
 「百ます計算」の陰山英男氏や沖裕貴氏らを招聘
 「経教分離」が重要なポイントになる
 芝浦工業大学の名物科目『創る』
 「連携大学院」制度の意義
 インターンシップの実施校が順調に増加
 千葉商科大学、関西大学の「地域連携」
 町役場の中に研究所を開設した東京理科大学
 「キャリア教育」の充実を図る大学が増加
 大正大学のキャリアエデュケーションセンター
 経済産業省が提唱する「社会人基礎力」
 「社会人基礎力」を養成する取り組みがGPに数多く採択
 「活用力」を意識した教育改革が急務

あとがき


盛りだくさんでしょ。
きっと著者は、PISAのこと以上に大学の現状を書きたかったに違いない。

なぜならば、それをできる人間はいそうでいないから。
著者は、大学卒業以来一貫して、教育ジャーナリストとして活躍してきて、
すでに大学を取り巻く変容と大学の行くすえを論じる著作も二冊ある。
日本中の大学を見ている自負も「あとがき」には書かれている。

確かに本書はPISA(学習到達度調査)という聞き慣れない言葉が
日本の大学を世界的にランキングしようとしていること、
そのランキングに巻き込まれたらばかなり不利であること、
その結果、大学に起ころうとしている問題を丁寧に、そして、網羅的にまとめている。

その部分が労作なのだけど、それならば大学人が読めば良いこと。
本書を、私がそして、あなたが読むべきなのは、本書に書かれている大半が
実に私(たち)が知らない「大学」についてだからなのだ。

大学と言えば「ワンダーランド」だと揶揄し、「授業なんかでてないんだろう」と
自分の学生時代を持ち出して勉強していないものと決めつける風潮があるが、
今の学生は実にまじめで、そのまじめな学生に必死に教育機関として、
専門以外のカリキュラム(資格取得や就職に有利になるような科目の)を提供しているのが、
今の大学であることが、本書からわかる。

大学は必死で取り組んでいる。でも、何のために?
教育機関としてというよりも、就職するために立ち寄る場所として多くの客を集め、
お金を落としてほしいとしか思えないような、本末転倒なカリキュラムも多いように思う。

それでも、教育機関として大学が生き延びようとしていることはわかる。
その文脈では、大学版PISAは大いなる脅威である。
国内ランキングどころか、世界ランキングで比較されるのだから。

ただ、科学コミュニケーションなどを論じる私にとって若干不満なのは、
これはあくまでも「教育機関」としての大学評価の仕組みであり、
大学のもうひとつの側面である「研究機関」としての評価とは関係ないことだ。

世界ランキングでもノーベル賞の数などを指標としたものもあることが、本書でも紹介されている。
しかし実は教育機関としての評価よりも、研究機関としての評価の方が、
国際的には大きく影響しているのではないかと思うのだが。

その辺を捉えて書いてくれる方はいないものだろうか。

大学の学力低下について知るには、合わせてこちらも読むといいと思う。
学力低下は錯覚である学力低下は錯覚である
神永 正博

森北出版 2008-06-27
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今行われている大学の努力は、大学自身が招いた結果であることがわかる。
それは、大学版PISAの脅威の冒頭で、黒木さんが書いているように、
偏差値が悪いのではなく、偏差値の使い方が悪いのだけど、
その結果、大学は学力に対して開放的になってしまった。
それが、学力が低下したように見える錯覚の原因なのである。

そうした点を頭に置いて、もう一度「大学版PISAの脅威」を読むと、
副題の「グローバリゼーションと大学偏差値」という言葉の意味が迫ってくるように思う。

そういう輻輳した楽しみがあるという点で、本書は多くの方に読んでいただけるものだ。
これから大学を受ける人にも、大学を受ける子供を持つ親御さんにも、
高校教師にも、大学教授にも読んでもらいたい。

とにかく、私たちは大学のことを知らない。
大学は、高校生には一生懸命「オープンキャンパス」などでアピールするが、
それ以外の人には、比較的冷淡だった。
だった、と書くのは、この点も今大きく注目されているからである。

中でも理学部・工学部の広報は、東大をはじめとして活躍が目立つ。
それでも、一般的には知られてないことばかりだろうけどね。

まずはこの本を読んで、それから、広報系も読んでみてください。

大学の後輩がすすめるのだから、間違いないと思うのだけど。




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fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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