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【視点】「再現性」と「一回性」の間で




「進化」は科学なのか? という問いがある。
最近は「進化学」という言葉も使うようだけど、長年「進化」については「進化論」と言われてきた。

科学ではなく、ある仮説に基づいた「ストーリー」だから「論」なのだという。

なぜ科学ではないかというと、進化には再現性がないからだ。
もう一度やってみることができないし、別の条件で試してみることもできない。
科学は、いつ、どこで行っても同じ結果が出ること、つまり「再現性」があることを求める。
物理法則や化学反応は、それでいいのだけど、生物になるととたんにその点が怪しくなる。

ましてや、今この世界の生き物がどうやって現れたかを考える進化は、仮説の積み重ねであり、結果がひとつしかないものの、その結果に至る道筋には再現性はない。
偶然の結果であり、環境変化に適応したものが残った、ということくらいしか言えない。

だから、進化は科学ではないと長年「科学的思考をする人たちの社会」から言われてきた。

この「科学的思考をする人たちの社会」というのが「アカデミー」というやつである。
そして、「科学という考え方」を信奉するのが「科学者」という集団である。

こう言ってしまうと、ずいぶんと反論もあるかもしれない。
実際、今から20年位前に、当時関わっていた科学誌で私が提案した「科学という考え方」という特集を組んだ時に、「科学は厳然とあるもので、考え方ではない」というご指摘をいただいたことがある。
反面、「科学は考え方だと知って、納得がいきました」という読者からのはがきを受け取ったりもした(当時はメールなんかないから)。

なぜ、こんなことを書きだしたかというと、このところ起こっている騒動には、どうも、「再現性」と「一回性」の対立というのが見えるからなのだ。

「科学という考え方」の中心にある一つが「再現性」である。
一回だけ起きたのでなく再現されなければ、実験結果としては信頼が置けない。

こう書くと、その騒動が「小保方問題」であると用意に想像がついてしまうだろう。

「科学という考え方」を信奉している人にとっては、あの騒動は、再現性があるかどうか、だけが問題である。
当然、最も大きな興味は「STAP細胞が再現性があるものかどうか」である。
あのずさんな論文は「再現性のあるデータなのかどうかがわからない」という欠陥を露呈したから問題なのである。
論文の筋立ては笹井先生が修正の末構築したと思われるが(この点もはっきり会見で明らかになっていないように思う)、優秀な学者が言いたい結果のために流れを整理して書いたのだから、エディターやレビューワーから突かれない様に、言葉は慎重に選ばれて、先行知見も散りばめてあるだろうと思う(読めないけど)。

エディターやレビュワーからは、何回か意見もあり、それに応ずるための追加実験もして、言葉も修正して、ようやく論文受理にこぎつけた(だから、投稿から1年近くかかっているわけだ)。
だから、論文の論旨や文言は間違いないだろうと思う。

ただ、その論旨を裏付けるのが、各種図版なのだ。
とくに、今回の論文は、多くの要素(多能性とか幹細胞であることとか)が図版と動画で示されている。
その図版が論文中に書かれた実験に基づいたものでないとなれば、一転して、論文の主張そのものが正しいかどうかわからなくなる。

細胞が由来する部位が違い、製造した手法が違うけど、意図したことを示しているから問題ない、という小保方サイドの説明は、全く科学的ではない。
しかもチャンピオンデータにこだわり、一番きれいな写真を使いたい、というのは「再現性」という言葉を信奉する人から見れば、気が狂っているとしか思えないくらい、呆れた態度なのである。

そう「再現性」は、図版にも求められる。何度やっても同じ結果が出なければ、それはタマタマ出来たものであり、チャンピオンデータは信用しない、もしくは採用しないのが、「再現性を信奉するもの」の態度なのだ。

しかし、小保方さんは「一回性」の写真を選んだ。
すごく良く撮れた写真、すごくうまく説明できたデータ、そういうものを散りばめて論文を構成した。
前にも説得に使えたから、これでいいと思った(とは言ってないが)のだろう。

しかし、いくら、その写真やデータが「同じ結果」を示していても、同じ実験のものでなければ、論文が複数の結果のイイトコどりの切り貼りになってしまう。
それでは「再現性」が担保できないではないか。

小保方さんは論文を「改ざん」したというよりも、あまりに「ずさん」なのだ。
「再現性を信奉するもの」から見ると、それは「論文」とは呼べないものを作る行為なのだ。

同じ実験条件での結果の図を並べ替えて見場を良くした、のとは全く違う行為だ、ということも弁護士以下理解しようとしないのは、きっと「わかっていない」からだと思う。

「再現性を信奉するもの」が、小保方さんがやったことの何を「許せない」と思っているか「わかっていない」。

同じように、論文を綺麗に見せるために写真を切り貼りしたのに、なんであっちは良くて、こっちはダメなの?と思っているのだろう。
「再現性」というならば、200回以上「STAP細胞」は作ったのに。

そうじゃないのだ。STAP細胞ができたかどうかは問題ではない。
それが再現性があるかどうかが問題なのだ。

STAP細胞は、外部刺激で細胞が多能性を持つところに特徴があるはず。
でも、多能性の証明は、ネズミのキメラができるかどうかで、それは若山先生が担当している。
若山先生は、ずっとダメだったのに、突然成功し始めて、それからは何度やっても成功した。
だから、これは素晴らしいと思った、という趣旨のことをインタビューで述べている。

【294】「その時マウスは緑色に光った!」若山教授が語った幻のSTAP細胞誕生秘話@梶原しげるの「プロのしゃべりのテクニック」

本格的に喜べたのは翌日でした。実験が正しく成功するとは、同じ状況で行うすべての実験が成功するということなんです。その通りそこから先はすべてのマウスが緑に輝きました。そこで初めて<やった!>と思いましたね」



若山先生は、一度成功したくらいでは「手順を間違ったからかも」と思う程度には「再現性を信奉するもの」なのだ。
しかし、彼女が持ってくる細胞でことごとく成功するから信じた。
では、何が変わったのか。彼女が持ってくる細胞が変わったのかどうか。そこがまだわかってない。
(余談だけど、この梶原しげるさんのインタビューが、科学記者のものでないところが、また言いたいことが膨らみそうになるのだけど、まあ余談です)

そして「Nature」に投稿する、と、このインタビューでも言っている。
ところが、「Science」にも「Cell」にも投稿してリジェクトされていることが、先の理研から発表で分かった。
それを知っているのは、最初に一緒に論文を書いていた若山先生だけだから、きっと若山先生が理研に話したのだろう。
落ちた論文のことは言いたがらないものだから、若山先生も言わないと小保方サイドは思っていたのかもしれない。

「科学」という名の論文誌で落ちて「自然」という名の論文誌に載る。
何かを暗示しているような気がする。

STAP細胞はきっと出来たのだろうと、私は思う。
ただ、その細胞が究極の万能細胞かどうかは疑わしいと思っている。

偶然出来た多能性細胞かもしれない。
自然の世界では、一回性の偶然は起こりうる。
しかし、それは科学ではない。

「Nature」を優れた科学論文誌で疑いないと思っている人も多いけど、「Nature」はやっぱり商業誌です。
「Science」とは出自が違う。
優れた論文が乗っていることが多いけど、ひどいのも平気で載せることもある。
とくに、論戦になるものや、広く論争を呼びそうなものは、「Nature」に載ることが多い。
部数も出るし、評判にもなるからね。

STAP細胞も、そういう「論争を呼びそうな論文」として掲載することにしたのではないか、と類推する(邪推とも言う)。
Natureが論文撤回するかどうか、まだ何も表明されてないのは、どっちでもいいからだろうと思う。
できれば、STAP論文のレビュワーやエディターを捕まえて意見を聞くくらいのことは科学記者にはしてほしいなあ。

梶原しげるさんほどのインタビューが出来ないならばね。

話はそれた。

STAP細胞に再現性があるか。
私に興味が有るのはそれだけなので、丹羽先生に頑張って欲しいです。

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fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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