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【読書】脳科学だけじゃない問題だけどね:脳科学がビジネスを変える

脳科学がビジネスを変える―ニューロ・イノベーションへの挑戦脳科学がビジネスを変える―ニューロ・イノベーションへの挑戦
萩原 一平

日本経済新聞出版社 2013-02-19
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この本は、NTTデータ経営研究所が主催する応用脳科学コンソーシアム(CAN)の事務局長である萩原一平氏が、「脳科学の産業応用」というテーマで書き下ろしたもの。

いわば、自分の研究所の成果とかコンソーシアムでの研究成果などを語るポジショントークにすぎないのだろうと高をくくっているとエライ目に合う。

そういった側面が全くないとは言わないが、実に真正面からビジネスへの脳科学の応用について、丁寧なリサーチのもとで書かれたものである。
巻末の注の多さ、引用文献の多さを見ても、この本が並のビジネス本ではないことがわかるだろう。

目次を見ると(NTTデータ社の本書ページより)


序章進む脳科学のビジネスへの応用
第1章意思決定の脳科学-脳は意思決定をどう行うのか
第2章経営に脳科学を活かす
第3章マーケティングに脳科学を活かす
第4章R&Dに脳科学を活かす
第5章グローバル化に脳科学を活かす
第6章遅れる日本の応用脳科学-求められるオープン・イノベーション
終章脳から考える日本の発展-日本人にとってのスマートパワー
参考脳の構造と仕組み



脳科学に興味のある方にとっては、最後の参考という章を読むだけでも随分とこの分野のことがわかることだろう。
さらに、参考文献も用意されているので、ガイドとしても優れている。

本書のベースとなる脳科学へのアプローチは、まえがきで謝辞を述べられている研究者お二人の名前から想像がつく。
ATRの川人光男先生と、カリフォルニア大学の下條信輔先生。
つまりBMIと無意識下の意思決定だ。

この2つは、脳科学をビジネスに応用する点でも鍵となる学問だから、当然なのだけど、BMIと潜在意識は、いわゆる「神経経済学」をあわせて、人間の行動を脳活動から見る、という点が特徴的だといえる。

しかし、脳だけ見ても何もわからないというのもまた脳科学研究では常識だったりする。
確かに、脳研究は脳画像の可視化で大きく飛躍した。特に人間の脳を見ることができるようになったのが大きかった。
サルの脳活動やネズミの脳活動からわかることは多いが、やはり人間と同じとはいえない。
だから、人間の脳の断面図の写真を見て、こんなふうに動いているといわれると、納得してしまいがちになる。
でも、それはまた、一方的な脳の見方であって、瞬間では何もわからないのだ。
静止画ではなく動画で、時間軸を入れた研究でなければ、「動き」を見たとはいえないのではないか。
瞬間的な脳神経の発火だけでは、細胞間のリレーションも見られないし、部位間のコネクティビティもわからない。
それでは、脳の中の、ある場所を見ているのに過ぎなくて、脳を見たとはいえないという指摘がある。

この本の優れているのは、そうした、脳科学に対する疑問や、脳研究に関する倫理、似非脳科学の問題についても目配りされているところである。

さすがに、Amazonの科学読み物で池谷裕二先生の著作を抑えて2位(5月1日15時現在)なだけはある。
やっぱり、お客様方はお目が高いのだ。

でも、こ脳科学研究の成果を生かせない日本の行政や企業の立遅れを嘆いている論説を読んでいるうちに、その裏側で萩原さんの「またか」という歯ぎしりが聞こえてきたような気がした。

そう「またか」なのである。

脳科学をマーケティングやR&Dやマネジメントに活用しようという欧米及び中国、韓国の機運が高まっている。
それらの国に比べて、日本の脳科学研究が遅れていることはない。
政府もお金をつけているし、研究者も各国に対抗するだけの基礎研究の成果は出している。

問題は、その成果を活かそうという機運がビジネスの側にないことなのだ。

だから、この本のタイトルは扇情的なまでに「ビジネス」を煽っている。
赤字だもんね。

問題意識は、そこにあるのだろう。

脳科学研究だけの問題ではなく、心理学やマーケティングでもいい、研究に従事してきた専門家を採用して、適切な部署に配置している企業がどれくらいあるだろうか。
さらに、企業内で専門家を養成することなく、素人の恣意的な判断で物を作り売ろうとする企業のなんと多いことか。

そういうビジネスに科学の視点を持ち込まない日本企業のあり方への怒りが、この本には随所に見られる。

人間の行動を司るのは脳であることは誰もが知っている事実だろう。
(脳だけじゃないけど、そこは大目に見てください)

だからこそ、この本は、脳科学に絞って問題を説いている。
しかし、こと日本企業や日本の官僚が抱えている病理は、脳科学にかぎらず、専門家を遠ざけ、素人考えを押し通すことにある。

そのことに萩原氏は苛立ち、憂えているのではないか。

本書から、私が感じたのは、そういう萩原氏の脳活動だった。

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プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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