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【観劇】別役実は常に現代の作家なのだなあ

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土曜日に、我が家から短いミドルホールどころか上手くすると我家のベランダからドライバーで打つと届きそうなくらいに近い新宿サニーサイドシアターで、観劇しました。

別役実という日本を代表する劇作家の二人芝居を女優二組で二本という企画。
(当初は3本だったはずだけど、蓋を開けたらば2本になっていた)

有名な台本とはいえないけど、独特の世界観は健在で、不思議な感覚を味わわせてくれる。

1本目の作中に「それだけ聞いているとどこにもオカシイところはないけれども、可怪しいんです」というようなセリフがあったけれど、まさにそれが別役の世界。

普通を装った登場人物がセリフを口にするたびに、その可笑しさ、世間とのずれ具合がグイグイと見る側に迫ってくる。

そして「普通」とか「普遍」とか「常識」自体が持っている「おかしさ」に無自覚でいる我々の存在そのものを露わにしていくのだ。

1本目は「トイレはこちら」。
首吊り自殺をしようとしている女性の、まさにその場所にトイレのガイドという荒唐無稽な職を思いついて実行しようとしている女性が現れる。そのふたりの、どれだけを取り上げれば理屈が通っているように見えて、どう考えてもおかしな言葉たちが交わされる噛みあわなさ、そして、荒唐無稽であるはずのトイレのガイドを利用する客が現れるという「現実のほうが想像よりもおかしい」ことがあることを示した作品。

比較的若い二人の役者さんが元気に演じていた。
声優ぽい発声が気になったけど、丁寧なセリフ回しと言うよりは、勢いがあってよい。
若い人がやる別役はこうなるんだよなあ、という感じで見られた。
「そうじゃないんですよ」とか「だからですね」といった、別役の世界独特の台詞回しが、どうしても「そう~じゃ、ないんですよお」という感じで強く立ってしまう。
そこを抑えめにやったほうが別役っぽくなるのだけど、別役っぽいってなんだという話ですからね。

結局、首吊しようとしている女性が「なぜ首をつろうとしているか」の説明がないところが別役らしい面白みだけど、この本が今ひとつ落ち着かない理由かもしれない。
彼女が毎日のように失敗してるだろうことを示すと、もう少し不条理が生きていくるように思った。

この本に掲載されているようです。
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2本目は「寝られます」。
マイミクの荒井ゆ美さんが登場。
「寝られます」とだけ書いてある部屋の主人(実は魔女)を好演。

摩訶不思議なムードを漂わせた部屋に女性の左足が落ちているという電話がかかってくる。
そして「寝られます」と書いてあるのを見て、宿屋だと思って入ってくる左足が義足の女性。
実は、この女性が、30年前にこの街であった公民館爆弾事件の実行犯で、その時に自分の足を吹き飛ばしていた。しかも、自分が吹き飛ばしてはいない死んだかもしれない子どもたちと亡くしたはずの左足の記憶を成仏させるために、この街に戻ってきたという、話の中にさらに話が入れ子状に広がる複雑なストーリーを見るものに納得させてくれた演技だった。

この本に掲載されているようです。
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2本とも大変面白かったし、別役は、やはり現実が混沌としていて、以前だったら驚くようなことが普通に起きる時代に見ると、さらに輝きを増すなあと思わせれくれた。
その意味では、常に、その現在の作家なのかもしれない。

ベケットの「ゴドーを待ちながら」が繰り返し演じられるように、別役実は何時の時代に演じても、見るものに示唆的なのだと思った。

それだけに、繊細に演出しないと、見るものにわかりにくい。
今回は、音楽やセットは良かったが、衣装が気になった。
当然、衣装はその人物を印象づける。
それだけに、人物設定と密接に結びついていてほしいのだけど、私には違和感があった。

まあ、ほんの些細なことなのだけど。

なぜ、首をくくろうとする女性が、結婚式の二次会の帰りみたいな格好なのか。
なぜ、トイレのガイドを考えついた女性はベレー帽なのか。

きっと、一生懸命考えた役作りの一環なのだろうけど、もう少し抑えたものでも良かったように思う。
その人を主張しない服装が、別役作品には似合うと思うのだ。

もっと、背景に溶け込んでしまうような服でやると、良かったように思うのだけど。古いかな。

中島みゆきの「狐狩り」が転換で流れたのは良かったなあ。
あのシュールさが、別役にはピッタリだな。

40人くらいしか入らない小屋で、オーディションで配役を決めた芝居ということらしいけど、贅沢なことなだなあと思う。
そういう贅沢さが、いまの日本にはあって、そこで演じられるのが別役実だというのがなんともシュールな感じがした。
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fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
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2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
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