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【観劇】100年たっても変わらないものがあった:救世軍バーバラ少佐:2012年11月26日


珍しく同じ芝居を二回見ました。
マイミクさんが出ているので、松陰神社前スタジオARまで行って来ました。

アリストパネスカンパニー「救世軍バーバラ少佐」のチラシ
barbara.jpg

こちらの劇団の芝居は1年ぶり。

関連エントリ:時代が変わっても「影」は影:【観劇】アリストパネスカンパニー「大逆の影」

時代を捉えた形で旧作を持ってくるという感じがあります。

今回は、バーナード・ショー作で1905年の作品。

英語ですが、詳しくは以下を見てください。

Major Barbara@wikipedia

全く知らなかった作品だったので色々調べたらば、本邦初演らしい。

11月16日から25日と小劇場にしては長めの公演期間で、上演時間も長めの3時間。
私は、縁あって、17日と23日の二回見に行きました。

公演も終わったのでネタバレで書きます。

上演時間がこれだけ長いとセリフも膨大で、しかも金言至言が多いことで知られるバーナード・ショーだから諧謔的なセリフの応酬。
役者さんは大変だったろうと思います。なので、2回見ても新鮮なシーンがあったりして(笑)。

さて内容はタイトルにある通り、20世紀初頭のイギリスで救世軍に身を投じていたバーバラと、その家族の物語。

母親ブリトマート夫人は、没落貴族の娘で旧弊的なモラルの塊。子どもたちを自分の枠の中でしか行動させたがらないくせに、「自由にしている」とのたまうイギリス上流社会の権化。

長男スティーブンはケンブリッジ大学を出たのに文学も法律も修めておらず「善悪がわかる」とのたまうだけの役に立たないインテリぼっちゃん。

長女バーバラは、救世軍活動に没頭する世間知らずのお嬢様な自分に気が付かない主役。少佐というのは救世軍内の身分なので、まあ出世している方ということなのだろう。

次女セアラーは、意外にしたたかな箱入り娘。没落貴族の末裔で、まだ財産分与もなされていない世間知らずのチャールズ・ロウマックスと婚約中。

父親アンドリューは、子どもたちが小さい時にブリトマート夫人と離婚しており、生活費を送り続けている。彼の仕事は武器製造会社の経営者で、イギリス経済界だけではなく政界も牛耳るアンダーシャフト家の当代。だが元々はウエストエンドの孤児出身であり、アンダーシャフト家が代々、孤児を養子に迎える風習から跡継ぎとなった。

父親の世界観(貧困を救うのは金と仕事)とバーバラの世界観(貧困には神の救済)、そして母親の世界観(世間体と階級主義)が対立し、入り乱れ、そこにアンダーシャフト家の跡継ぎ問題が関わってくるという話。

バーナード・ショーの作品な上に、救世軍が出てくるというだけでかなり敷居が高い感じ。

救世軍といえば、年末の社会鍋なのだけど。実態はよく知らない。

救世軍@wikipedia

救世軍(きゅうせいぐん、英:The Salvation Army・略称S.A.)は、世界124の国と地域で伝道事業(=宗教活動)、社会福祉事業、教育事業、医療事業を推進するキリスト教(プロテスタント)の教派団体。日本では日本福音同盟に加盟している。
軍隊を模した組織をとって活動を行うことが最大の特徴である。
なお、英語の「The Salvation Army」を「救世軍」と日本語に翻訳したのは尾崎行雄である



神の軍隊である「救世軍」と、本物の軍隊に武器を提供するアンダーシャフト家である父。
この対立が何を争うものかというのが主題で、結論はバーナード・ショーらしく皮肉が効いている。

つまり、救世軍にとってはあまりよろしくない結論なのだけど、この公演では救世軍の協力を得ていて、衣装などを日本救世軍から借りた上、役者は救世軍本部に見学などにも行ったらしい。

なぜバーナード・ショーが救世軍をターゲットにしたかを考えるには、彼の考え方とともにイギリスにおける救世軍の意味を考えなければならない。ショーは、

進取の精神で知られ、新しく世の中に出てくる考え方に対して、ほぼ生涯を通じて賛成している。反面、次々と新しい思想に飛びつき、思想信条に一貫性がないとの誹りもしばしば受けていた。



それだけに、資本主義の象徴として武器製造会社を、旧来的なものの象徴として、貴族と救世軍に目をつけたのだろう。
イギリスにおける救世軍というのは、ひとつのキリスト教の組織という以上の意味があるらしい。

現在、救世軍はイギリスでは政府に次ぐ規模の社会福祉団体であり、全世界で1万2千ヵ所近くの社会福祉施設、教育機関、医療施設を運営しており、国際連合経済社会理事会(ECOSOC)において1947年以降、特別協議資格を持つ国連NGOである。



元々イギリスで19世紀末に始まった救世軍は、爆発的にその勢力を拡大し、この台本が書かれた1905年には一大勢力だった。
そして、その中心的な活動は、ホームレスへの給食施設とアルコール依存者の更生施設なのです。
なので、劇中に出てくる、醸造会社で億万長者になった男爵からの寄付というのが、非常に大きく揶揄するものになるわけで、金持ちからの寄付で救世軍が活動するにしても、最も忌み嫌うアルコールが元になった寄付を受け取るべインズ長官の態度が、バーバラの心を動揺させることになり、追い打ちをかけるように父に追加の寄付をねだるベインズ長官を見て、彼女はその場で救世軍を抜ける気持ちになるわけです。

まあ、救世軍と言うよりも、バーバラの純粋さ自体が父の金に支えられた危ういものであることを示すシーンとも言えます。

日本でも救世軍は1895年と早くに入って来まして、当初から娼妓開放に熱心でした。
そういえば、映画「吉原炎上」で根津甚八が演じていた救世軍軍人も、お坊ちゃんの遊びのように表現されてましたね。五社英雄監督はバーバラ少佐を知っていたのだろうか?

こういう事前知識を持ってみると、セリフの意味が少しは見えてくる。
でも、芝居だから、こんな事前知識なしでも面白くなければいけないとは思いますけどね。

その点では、十分に面白い芝居でした。
やはりセリフの一つ一つが素晴らしく、感心してしまいます。
役者さんの演技に目を奪われると言うよりは、膨大セリフから世界観を感じる芝居。
でも、その世界観に浸らせてくれたのは、役者さんたちのおかげなわけで、素晴らしい演技だったのではないでしょうか。
台本を頂いたので読んでみましたが、わかりやすくなるように構成に手を入れた演出があり、セリフの翻訳も工夫されています。

なぜ、今バーナード・ショーなのかを考えてしまいましたが、このセリフの力と状況設定、登場人物の滑稽さは、十分現代の日本の状況をも捕まえているものだったし、揶揄するものであり、痛切に指していました。
この芝居をやりたかった理由もなんとなく見えました。

誰が、今のこの閉塞した状況を打破してくれるのか。
とくに震災で仮設住宅に住む人達には、保護だけではなく、
やはり仕事と金を復興に回さなければ、解決しない問題はたくさんあるということを考えさせられました。

そういう意図だったかどうかはわかりませんが、そう読めてしまったのです。

最期に、調べていて知ったことを書いておくと、日本バーナード・ショー協会というのがありまして、「バーナード・ショー研究」という学会誌も発行してます。
編集委員長はこんな本も書いていらっしゃいました。

バーナード・ショーへのいざない―Welcome to the Shavian World 生誕150周年記念出版バーナード・ショーへのいざない―Welcome to the Shavian World 生誕150周年記念出版
日本バーナードショー協会

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これも読んでから見ると面白かったかも。

バーナード・ショーといえば、マイフェアレディの元になったピグマリオンが有名だけど、多くの作品が戯曲とともに映画化されています。

バーバラ少佐も映画化されていて、ユーチューブでもアップされているものがありますね。
映画の冒頭かな、バーバラの演説シーン。


芝居だと2幕になるビルの乱入シーン


その他にもありますがこの辺で。

イギリスではシェイクスピアシアターで上演されていますね。


バーナード・ショーはこんな顔でした。
c0139575_19161174.jpg

バーナード・ショー名作集バーナード・ショー名作集
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fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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