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【科学】長期的視点が科学を支えるのだなあ:2012年11月9日




科学研究は、平均値と傾向の時代から、個体差と多型の時代に入っているなあと思うわけですが、平均を取るのは、今眼の前でも何とか出来ますが、実は個体差を見るには、かなり多くのデータが必要です。
そうした研究を支えるデータや資源というのは、実は長期間にわたって集められないと整わないもので、突然できるものではないわけです。
だからこそ、国の体制とか長期的な視野が問われるのですね。

なんでそんなことを言い出したかというと、まさに個体差と多型の時代だから重要になっているデータベースの存在を知ったからなのです。

双子のデータベース、さまざまな研究で活躍@WSJ

【ストックホルム】医学の最大の難題の一つは、生まれつきのものとそうでないものを区別することだ。これが双子のデータの宝庫であるスウェーデン・ストックホルムの研究所に世界中の研究者からデータの依頼が集まる理由だ。研究者は認知症の原因を調べたり、金融分野のリスクテーキングといった経済的行動の理解を深めたりする目的で、データを依頼している。



昨日、ツイッターで見かけて【面白い】と思ったのですが、なかなかに味わい深い記事です。

 50年前に設立された「スウェーデン双子レジストリー」には、10万組近くの双子の出生データ、医療記録、その他の情報があり、この種の情報源としては世界最大かつ最も古いと考えられている。



日本でも「双子研究」というのは長期間にわたって行われてまして、有名なのは東大附属中等教育学校でしょうか。
6年制なので、中高一貫というわけですが、これは東大付属といっても、東大に入りやすいわけではなく、東大と連携し、東大の教育研究を支える現場ともなっています。

本校は、その名称の通り、東京大学教育学部の附属学校です。名実ともに、わが国有数の総合大学である東京大学の知の財産を活用し、他の学校には真似できない、本校独自の教育活動を行っています。
これまで本校では、東京大学総長や副学長による授業や、 東京大学の施設を利用した行事を行ってきました。 今後も大学附属の学校であることを生かし、東大全学と連携を取りながら、その豊富な知的資源を活用した授業や行事、 研究活動を行っていきます。



で、この東大付属では双子が多いことが有名です。
学校のホームページのFAQにも質問があるくらいです。

Q6. 双子の生徒ってどのぐらいいるの?
双子の生徒は各学年に10組くらいいます。したがって、 各クラス(40人定員)に7人前後の双子の生徒がいます。しかし、 双子の兄弟姉妹が同じクラスにはなることはありません。 (ただし、後期課程などの選択授業では同じクラスで学習することもあります。)
双子の生徒たちは「東大附属では双子が多いので、 特別に双子であることを意識させられることはない。 とても居心地がよい」と話しています。



それは双生児研究を進めてきたからなのです。

双生児研究

本校では双生児を生徒として数多く入学させ、さまざまな実践や調査、 ケーススタディなどを通して双生児研究をすすめています。 また、双生児法による研究活動は、 双生児を通して「遺伝と環境」について調査をすすめ、 それを広く一般教育に役立てようという創設時からの考え方に基づいているものです。 これらの研究成果は『東大附属論集』の各号、 『双生児』 (日本放送出版協会、1978)、 『ビバ! ツインズ』 (東京書籍、1995)に収録されています。



ということで、双子というのは、一卵性であれば遺伝子が一緒ですから遺伝と環境の研究にはうってつけの素材となります。日本では、この東大付属が有名であることは知っていたのですが、外国はどうなのかと思っていたところ、この記事を見つけたわけです。

 このレジストリーの責任者で認知症の研究に取り組んでいるPaul Lichtenstein博士は、双子の研究によって「われわれがこうあるのはなぜなのか、生まれつきなのかそうではないのか、という永遠の疑問」を追究することができると指摘した。このレジストリーはカロリンスカ研究所医学疫学・生物統計学の部門内に設置されており、世界中の科学者からデータベースの利用を求める申請書を受け取っている。こういった科学者の中には、現在注目度の高い遺伝子解析の分野や、遺伝子が環境的な要因によってどれほど変わり得るかを研究するエピジェネティクスの分野の人もいる。双子のレジストリーは世界中で増えており、アジアの何カ国かには比較的新しいレジストリーも存在する。



カロリンスカ研究所というのは、ノーベル賞の生理学部門の選考委員会があるところですから、世界トップクラスの医学系研究所。
そういう重要な位置づけの研究所内にあるのも、素敵です。

しかも、出来た経緯が面白い。

 このレジストリーは1950年代終わりに設立された。スウェーデンのたばこ業界から資金を得た同国の研究者2人が、当時結論が出ていなかった、喫煙が健康に悪いことを示す証拠について研究しようとしたのがきっかけだった。研究の目標は一部の人が遺伝的にがんになりやすいのか、それともたばこの煙に含まれる化学物質によって健康に影響が出る可能性があるのかについて明らかにすることだった。喫煙習慣に違いがあるにもかかわらず、双子ががんを発症する確率が同等であれば、喫煙に発がん性がないことが示されるはずだった。



そして、結果は出資者には意外なものでした。

喫煙が実際にがん発症リスクを高めることが示されたため、プロジェクトの資金提供者は資金を引き揚げたのだという。



まあ、そりゃそうだなのですが、この資金提供者は結局端緒を開くことになったわけですから、よいことをしたわけですね。ガッカリはしたでしょうが。

そして、この研究者が目をつけた「双子」のデータは、元々スウェーデンには長く蓄積されていたという有利さがありました。

2人の研究者には研究対象にできる膨大なデータがあった。スウェーデンで生まれた双子は町の教会区の牧師によって記録されており、その記録の最古のものは1800年代にさかのぼる。この記録は、住民の基本的な健康情報の記録とともに、スウェーデンや欧州のその他数カ国で現代まで取り続けられている。



双子というのは世界的に、いろいろな理由で喜ばれたり忌み嫌われたりしていますが、神秘的な存在であることは間違いないので、注目され、(悪く言えば)見張られているんですね。
それが、研究のベースとなり得たというわけです。

スウェーデンの風土があって、このデータベースが出来たとも言えます。
そして、それにお金を出した人(失敗だったのでしょうけど)がいて、研究を続ける人がいて、いつの間にか最先端の研究成果を支える世界の役に立つものとなった。

こういうのが、地道だけど知的な成果を生む国の成果なのだなと思いますし、日本も、長い目で研究を支える国であって欲しいし、総いう人が生まれる風土を持っているといいなと思います。

で、そういう長い期間かかる研究をひとつご紹介したいのです。

長い期間同じ人を追いかけてデータを取り続ける研究を「コホート研究」といいます。

日本ではなかなか予算がつきにくい研究でしたが、ここ数年、子どもの発達とかガンのリスク調査などでコホート研究が行われています。

先日行ったサイエンスカフェで、長谷川真理子先生が、このコホート研究が行われることを話しておられました。

文科省の新学術領域研究「精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学」という研究の中で『青春期の発達・健康調査(予備調査)』というのが行われるということでした。

思春期を挟んで、10年くらい継続して子どもたちの成長を見ようというもので、4000人調査したいとか。
意欲的なものなので、ぜひ成功してほしいなと思い、ここに情報を載せておきます。

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プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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