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喪失から立ち上がる「ヒトの力」を信じよう:【観劇】「ミス・ユウ~不在~」

何度か涼しい土曜日に、下北沢OFFOFFシアターまで
三ツ矢雄二さんの劇団「アルターエゴ」の公演「ミス・ユウ~不在~」を見てきました。

公演が火曜日までなのでネタバレ厳禁の部分もありますが、まあいいか。
今回は、自らパニックシアターを率いる中村まりこさんの書き下ろし作品。

もちろん、3.11以降に書いたもので、創作者があの震災以降をどう考えるかという問いに答えるものでした。
中村まり子さんには、震災以降何度かお目にかかりましたが、
東京にいたものの余震で眠れない日が続いたとこぼしていましたし、
また、フランスの友人たちから日本にいないでこっちにおいでと何度も言われたらしい。
フランスからか掛かってくる電話と話していると時差の関係で昼も夜もない感じになり、
体調を崩したりされていました。

そうした心穏やかならぬ日々を超えて、彼女が作品に込めた祈りが心に染みました。

あらすじは、タイトル通り「不在」を抱えて、心が崩れ落ちた女性3人と、
彼女たちを支える(?)男性2人が暮らす1軒屋に
ある日、新たな入居者がやってくる。
新参者の男性に惹かれる女性たち、安定していた5人の間で崩れるバランス。
と書くと、ありがちな世話物に思われそうですが、
この芝居がポスト3・11なのは、その新参者がたくましくもセクシーでもないこと。

庭を世話し、料理を作り、お風呂掃除やトイレ掃除を率先して行う華奢な青年。
この実に世間離れした青年の役を、女形などで成果を出してきた窪田亮さんが好演していました。
(ダブルキャストなのですが、私はマイミクでもある窪田さんの回を観劇)

超然とした視線と面持ちが、このマチアという名の主人公をよく描出していて、
天使が化けているネコと話ができるという中村台本によくあるファンタジックなシーンを
違和感なく定着させていたので、逆に別キャストはどうなっているのか気になるほど。

実に彼の存在が芝居を立ち上がらせていたなと思うわけですが、
その他のキャストも、ズレや違和感を抱えた人物をよく描写していました。
内面の違和感を表情の内側に落としこんで、
眼の色(なんか白目がいつも赤いとか)や視線の不安定さで
極端におかしく演じずに、異常さを見せていたなと感心しました。

そうした役者の力量で、不在を抱えたヒトが、それを忘れたり別のもので埋めるのではなく
埋められない不在を抱えたまま生きて行くことが、大人になる事なんだという
出発を誓うラストへの流れは、実に納得しつつ心に落ちてくるシーンとなりました。

建物を再建するときに庭を残すという選択も、再興のために全く新しくなるのではなく
どこかに土地の記憶が残る風景を残しておきたいという作家の願いなのでしょう。


この芝居が、誰かの不在(恋人だったり、結婚相手だったり、子どもだったり)をきっかけに
心を病み、自殺を計った女性たちが天使に助けられて1箇所に暮らしているという設定は
いま多くの肉親の不在を抱えて避難所で暮らす被災者を含む、
多くの現代人をイメージしたものだと思います。

その不在は、別の何かで埋めるのではなく抱えて生きて行く強さを持つこと。
作者の祈りは、昨年来古い友人たちを相次いで亡くしている作者自身を反映し
この震災で、どう生きて行くのか思いあぐねているだろう多くの被災者はもちろん、
被災していないことに申し訳なさを感じる非被災者へのメッセージなのではないかと思いました。
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プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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