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ネタは研究室にあり:【本】ようこそ、私の研究室へ

ディスカバー林秀樹さんから献本いただきました。
ありがとうございます。

ようこそ、私の研究室へようこそ、私の研究室へ
黒田 達明

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-11-16
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21の研究室つまり21人の研究者の研究内容と研究者人生についてまとめた本。

JSTNEWSの連載「ようこそ、私の研究室へ」をもとに、
連載では書ききれなかった分を補遺し、
特に研究者の人生の物語にフォーカスしたものである。

このJSTNEWSにネタを求めたのが編集者の視点として優れていたと思う。
こうした国のカネを使った広報誌は数多く出ているが、
多くは出しっ放しで、そのコンテンツをまとめたものが出ることは少ない。

しかし、その手の冊子の連載は読ませることに苦労してまとめたプロの仕事が多く、
サイエンスライターという職種のいまや数少ない腕のふるいどころになっている場合も多い。

つまり、良いネタが多いのに、顧みられることが少ないのがこうした広報誌なのだ。

公共関係の業界誌や広報誌は、ニッチなネタを取材する専門ライターの宝庫で、
そこには、普段見ることがないような面白い話が転がっている。
そういうライターと話をすると本当に感心するようなことを取材している。
でも、それを披露する場はほんとうに少ない。
そこが問題なのだなあ。

ポスドク問題を書いた「博士漂流時代」のなかでも、
博士のキャリア問題が出てくるが、第二選考としてサイエンスライター養成という機運がある。
(サイエンスジャーナリストとかサイエンスコミュニケーターとか言い方はいろいろだけど)

でも、サイエンスライターが活躍する場は少ない。
科学雑誌が壊滅状態のいま、どこで原稿を書くのか。
その残された数少ない分野が、こうした広報誌になっているのが現状である。

よく聞く話で、欧米ではサイエンスコミュニケーターは博士卒だというのがある。
そして、彼らは研究で博士号をとりつつ、ライティングの能力も高いという。

しかし日本では、広報部門に研究の専門家が異動する例はあっても(それでも少ないが)
サイエンスライティングの専門家(経験者でもいい)が就く例は極めて少ない。
まだまだ、こうした分野で理解が少ないのが、サイエンスライティングだと言える。

科学の内容がわかるサイエンスライターとして、博士の就職先にして欲しいと思う。

そして、この筆者である黒田達明さんは修士だけれど、研究室に所属していたライターだ。
こういう方に続く若手が出てきて欲しいと望むので、そのためにも黒田さんが成功してほしい。

話が違う方に行ってしまった。

さて、この本の読みどころなのだけど、
やはり研究者の人生は面白い。

ノーベル賞を取っていない、けれど最先端の研究者の生き方とは、考えとは、
そういうある意味で「普通」の研究者の世界が垣間見えるというのは楽しい。

特に一人づつ「語録」というのがあって、これだけ読んでも含蓄がある。
研究者を目指す人とか、理系の一年生と言わず、
人間に興味がある人は、文系でも毛嫌いせず読んでほしい。
研究者とは、これほど人間臭い存在なのか、と思うこと間違いない。
そして、日本には世界に負けない研究がこれ程あるのかと驚くだろう。

こういう人に予算をつけて、良い研究をして欲しいなと思ってくれれば、
事業仕分けの見方も変わってくるかもしれない。

そういう本です。




目次(ディスカヴァー社のHpから

第1章 独自のアイディアで 驚きの成果を実現する研究室
■まったく新しい「X線技術」でガンの早期診断に挑む---百生敦(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 准教授)
■不思議な生物「粘菌」から「生き物の賢さ」に迫る---中垣俊之(公立はこだて未来大学 システム情報科学部 複雑系知能学科 教授)
■レーザーは魔法の杖! 微粒子の正体を解明する---藤井正明(東京工業大学 資源化学研究所 教授)
■常識を信じるな、化学分析の壁を打ち破れ!---河合潤(京都大学大学院 工学研究科 教授)
■化学の力で命の秘密「二重らせん」をつくりだす---八島栄次(名古屋大学大学院 工学研究科 教授)
第2章 最先端を探求し 世界を舞台に活躍する研究室
■アスリートのような科学者、量子情報科学を駆ける---古澤明(東京大学大学院 工学系研究科 教授)
■タンパク質の解析は世界が舞台だ---岩田想(京都大学大学院 医学研究科 教授)
■科学への情熱がT細胞研究への道を拓く---宇高恵子(高知大学 医学部教授)
■津波から人間を守るのは、科学者の使命---佐竹健治(東京大学 地震研究所地震火山情報センター 教授)
■カエルの卵研究20年、生命の謎を探求---佐方功幸(九州大学大学院 理学研究院 教授)
第3章 夢を原動力に 新しい分野を開拓する研究室
■カオス工学で「脳」を創ろう---合原一幸(東京大学 生産技術研究所 教授)
■猫を怖がらないネズミ登場!情動の秘密---小早川令子(大阪バイオサイエンス研究所 神経機能学部門 室長)
■生物の仕組みをコンピュータを駆使して解明せよ---冨田勝(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
■絆創膏型のモニタリングシステムが常識になる日---前中一介(兵庫県立大学大学院 工学研究科 電気系工学専攻 教授)
■性と性行動の仕組みに分子レベルで迫る---長濱嘉孝(自然科学研究機構 基礎生物学研究所 特任教授)
■「藻」が世界のエネルギー問題を解決する---渡邉信(筑波大学大学院 生命環境科学研究科 教授)
第4章 新しい技術の創出で 社会を変える研究室
■交通渋滞を解決するのは「数学」におまかせ---西成活裕(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
■水の浄化システムで世界の暮らしを安全に---山本和夫(東京大学 環境安全研究センター 教授)
■東京上空にイモムシが? 巨大実験場で快適な街づくり---神田学(東京工業大学 工学部 教授)
■日常の事故から子どもを守るのは「センシング技術」だ---西田佳史(産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学研究センター 生活・社会機能デザイン研究チーム チーム長)
■動物からヒトの臓器をつくりだす驚異の再生医療---中内啓光(東京大学 医科学研究所 教授)
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fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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