スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

SF小説がやりにくい時代のショート・ショート:【読んだ本】予定不調和

ディスカヴァーサイエンスシリーズ創刊3冊のトリを飾るエントリでございます。

予定不調和予定不調和

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-04-15
売り上げランキング : 69862

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


副題の「サイエンスがひらく、もうひとつの世界」という言葉通り、
ある最先端科学の成果が、もし別の結果をもたらしたら、というSF仕立ての一冊。

これをサイエンスコミュニケータの第一人者
(と書くと著者に何か言われそうだが、私はそう思っているのだ、キリッ)
が書くというだけでも、サイエンスコミュニケーション業界(笑)の中では
センセーショナルな話題と言えるだろう。

しかも、これが面白い。
科学モノのショートショートといえば、星新一を思い出す世代なのだけど、
明らかに影響を感じる(まあ、影響がない人はいないかもしれないけど)
ちょっとブラックなオチとか、前振りなしの事件とか。

やや項目が多い気もするが、それらは実は相関しあって、ある世界を作っているので、
これだけの項目が必要だったのだろう。
科学と技術の関係を考えると、本当はもっと書きたかったに違いない。
アマゾンに掲載されている目次は抜粋なんだなあ。

では、手打ちで追記して全部紹介だ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
序章 予定不調和?
STORY1 いつか見た未来
携帯電話が実現した未来/しなかった未来
STORY2 もう一つの、いつか見た未来
予測できた未来/できなかった未来
新しく「できること」の気味悪さ

第1部 競争の時代に

第1章 スマートドラッグがもたらすこと
STORY 福利厚生か労働強化か
スマートドラッグの現在
スマートドラッグが作用する原理
強制か、カウンセリングか
スマートドラッグをめぐる議論と現実
もう一つの未来予想図
新しい価値観

第2章 科学的なテストの時代
STORY 入学試験
新しい審査の方法
面接しない面接
オーダーメード教育?
脳画像技術の現在
ゲノム情報と個人の特性
「教育」の役割
教育現場への影響
未来の選択

第3章 遺伝子ドーピング
STORY ドーピング検査@大学
遺伝子ドーピングは現在でも可能
遺伝子治療の応用
脳ドーピング
「改善」されるヒトの遺伝子

第2部 新しい環境と健康

第4章 体細胞由来クローン
STORY 無言の闖入者
クローン技術の虚像
クローンヒツジ・ドリー
クローン技術の原理
タマリンはどこからやってきたのか
希少動物のクローン
クローン技術とマンモス復活
クローン技術の希少動物保護への応用
管理されている実験
保護すべきは希少動物か

第5章 遺伝子組換え食品
STORY 大豆を作る小麦?
遺伝子組換え作物
混入が起こる可能性
遺伝子組換えの受け止め方
混入の原因へ
新しい仕組み作り

第6章 デザイナーベビー
STORY 「治療」の範囲
受精卵に遺伝子を導入する技術
最小限の措置と最大限の治療
着床前診断
SNPによって生じる違い
予測可能性と同意
技術が持つ力強さゆえに

第3部 意思のあるところ

第7章 ニューロマーケティング
STORY 風変わりなアルバイト
脳科学によるマーケティング
不可思議なデータ
ニューロマーケティングの技術と効果
ヒットの裏にある真実とは
神経経済学の影響

第8章 ブレインマシンインターフェース
STORY 自殺未遂か、傷害事件か
ブレインマシンインターフェースでできること
脳の情報を機械へ、外界の情報を脳へ
操作が行われた場所
軍事面などへの応用
絞りきれない可能性
不明のままの真相
ブレインマシーンインターフェースの別の側面
脳深部刺激(DBS)の技術

第4部 問い直される[わたし]

第9章 脳画像技術による嘘発見器
STORY 見慣れない証拠
嘘をつくときに使う脳
嘘と真実を見分ける
逆転する悪夢
拒否する権利
最終兵器の存在

第10章 パワードスーツがもたらすこと
STORY 過剰防衛
実用化されるパワードスーツ
電気信号は神経を経由して筋肉に伝わる
装着があらわにすること
増強される身体の許容範囲
新しい村で

第11章 サブリミナル効果に代わって
STORY ある日、インターネットのサイトで
レコメンド機能
データの収集
「履歴」の集約が生むこと
影響される嗜好
マーケティングの公正さ

終章 情報と技術の氾濫を泳ぎ切るために
STORY 生活総合レコメンデーション
嗜好の誘導
膨らんでいく不信と不安
溶けていく「自分」
予測可能性
選択できる未来

あとがき
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

かなり広範囲の事象を話題にしていることがわかるだろう。
これだけの話を対象にする校閲者(書籍の内容をチェックする仕事のプロ)は、そうはいないので、
この本については、専門家であるサイエンスライターに確認してもらったそうだ(あとがきによる)

本を作るときには、校正と校閲があって、
校正は文字や文意の間違い(ミス)をただし、
校閲は内容の間違い(エラー)がないか疑問を呈する。
科学分野は、この校閲が非常にむずかしい。
専門分野になると誰がチェックするのかということになる。
そこをうまく仕組みづくりしないと、サイエンスシリーズは破綻すると懸念している。
こればかりは著者に任せておいてもダメで
(神永先生のように自分で知人の研究者にチェックして貰う人もいるけど)
専門家によるピアレビューという論文チェックの仕組みを模した校閲の仕組みが必要だろう。

そえはさておき、この本は現代社会と科学技術の接点におきそうな話題を取り上げ、見事に読ませてくれる。

これ自体も面白いのだけど、あえて言えば、
内田さんの本を読んで「科学という考え方」を知り、
北澤さんの本を読んで「科学者が社会をどうしようとしているか」を知ってから読むと、
さらに面白みが増すのではないかと思う。

科学者は社会をより複雑にしようと思って研究をしているわけではないし、
技術者も社会に良かれと思って商品につながる技術を開発しているのだけど、
ひとつ間違うと、そこで予測していた社会(予定調和のとれた社会)ではなく、
思いもよらなかった不都合や不合理や不信感のでる結果(予定不調和)を起こしてしまうのだ、
という著者の提言が、前著の二冊を読んで考え方を頭に入れておくことで、
単に、ネガティブだとか意地悪な物の見方ではなくて、
著者の科学への愛と科学者への苛立に裏付けられていることがわかるのではないかと思うのだ。

だから三冊とも買ってください、という露骨なディスカバーよりの発言をしてしまう私(微笑)。

まあ、ディスカバー愛が言わせる言葉なのだけど、
それは根拠のないものではなくて、
創刊シリーズが、全く関係のない単著の羅列で客を取りに行った企画ではなくて
(どこの創刊シリーズとはいいませんが)
ひとつの科学への提案であり、提言であり、
ディスカバー社なりのサイエンスの見方を、
この三冊が相互に補完しあって体現していると言うのが、私が三冊を通しで読んだ感想だから。

だから、もう一度キャッチフレーズ
「科学っておもしろい! 技術ってスゴイ! 理系ってステキ!」
を思い出しながら、次のシリーズ刊行本を待っている、優しい読者なのであります(微笑)

関連エントリ
内田麻理香の告白本:【読んだ本】科学との正しい付き合い方
事業仕分け人必読の書:【読んだ本】科学技術は日本を救うのか

科学技術は日本を救うのか科学技術は日本を救うのか

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-04-15
売り上げランキング : 238112

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


科学との正しい付き合い方科学との正しい付き合い方

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-04-15
売り上げランキング : 4702

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


予定不調和予定不調和

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2010-04-15
売り上げランキング : 69862

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございます

取り上げてくださって、ありがとうございます。
もっと書きたかった面と、これ以上、広げるためのバックグラウンドの不足の露呈と、両面ありました。今回、フィクション1対ノンフィクション3くらいの割合ですが、これ逆転させて成立させるにはどんなんだろう、とか、考えています。
amazon
楽天市場
Yahoo!
楽天
FACEBOOK
RSSフィード
add
プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

リンク
検索結果
カスタム検索
Twitter
ブログ全記事表示

全ての記事を表示する

カテゴリー
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。