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ビジネス本ならぬ「成功本」の成功はどこにあるのか

すでに多くの書評がある中、改めて読んだ本。
成功本50冊「勝ち抜け」案内 How to Improve Your Reading Skills for Success in Life (Kobunsha Paperbacks Business (013))

この本は、副題にある「読み方ひとつで人生は変わる」とあるように、
ビジネス本を「どう読むか」という「成功本を読んで成功するための読み方」を教えてくれる本。

光文社が新しく始めた「ペーパーバック」のシリーズなので、
体裁も洋書のペーパーバックのようであり、一風変わった本である。

すでに、この本の「読み方」については、

俺と100冊の成功本

そのフォーマット化されたスタイルについては、

マインドマップ的読書感想文

メタ成功本であるという視点からは、

404 Blog Not Found

という、有数の書評ブログで紹介されているので、読んだ方も多いだろうし、
それほど書評が上手ではない私が書いても冗長なので、
書評は、そちらを読んでください。

じゃ、何で紹介するかというと、昨日読み終わったからなんですが、
ここの所考えている「ビジネス本」の時代について考えるためです。

この本自体が、最近の成功するビジネス本の要素を持っている、
のは当然なのですが、それをあえて書き出すと、以下の三つかと。

その1:個人的体験に根ざした「失敗」を内包していること、
その2:要点が数えられる要件にまとめられていること、
その3:行動につながる働きかけを有していること、

その1は、情報商材のセールスレターの書き方とも共通するのですが、
個人的な失敗をスタートにして共感を得るというのは、
こうした成功本に騙されまいとしている「読まない」読者を
くどく常套手段です。

そして、この本の巻末に載っているビジネス書ベストセラーの筆者を見ても、
2000年くらいからビジネス本のあり方が変わっていて、
2005年から、近年になるほど、ある特徴が見えてきます。

それは、成功者による成功本ではなく、
元弱者もしくは、中規模の成功を収めている実践者が、
その成功は、過去の失敗から学んだためで、
それをみんなにも教えたいという姿勢で書かれた本が
増えているということなんです。

これは、前回書いた私の仮説「著者の変化」を裏付けているように見える。

その2は、三つのとか、5つのとか、ベスト10とか書かれると、読みやすいし、
興味が続きやすいという実につぼを心得た構成。
以前、勝間和代さんの「新インディ」(笑)を紹介したときにも、
数字で表現する「よさ」に触れさせて頂いています。

その3は、「読者の変化」を考える機会に成りました。

多くの人は「行動できない」から、こうした本が売れるわけです。
でも、できない自分を知りながら、「行動しろ」といわれると身もだえして苦しみながら、
喜んで読んでしまう、という読者が「行動しろ」本を買っていて、
その人たちが、こうした成功本〔ビジネス本〕を支えているのではないでしょうか?

こうした「マゾ読者」のために、筆者は親切にも
part3「成功本を無駄に読まないための成功法則ベスト10」
を上げて、
「行動しなければ変わらない」
「行動しなければ決して実現しない」

と「言葉攻め」で説いてくれます。

「マゾ読者」はさらに「行動しろ」本を買って、できない自分をさいなみます。
中には、行動して「インディ」(by勝間和代)になるかもしれません。
でも、多くの人は、英語を学べないまま「英語学習書」を買うように、
痩せられずに「ダイエット本」を買うように、
行動できない自分をのろいながら、次の「成功本(行動本)」を買うのです。

この本を読んで、これまで「ビジネス本」と読んできたジャンルが
勉強本、自己啓発本、経済本を取り込みつつ「成功本」となって、
売れ筋になっているのではないかという新たな仮説が沸いてきました。

ディスカバー社長室blog:ビジネス書の今とこれがほんとのネットとリアルの融合!?

で、干場社長が指摘している「エンタメ化」と
ここで上げた「成功」というキーワードが、
最近のビジネス本には、透けて見えてくるのです。

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もうすぐ2ヶ月

「成功本50冊『勝ち抜け』案内」が発売されてからもうすぐ2ヶ月です(現在4刷)。 今日は日曜なので午前のうちに仕事を終わらせようと 6時くらいから作業していたんですが、執筆の合間に 「成功本50冊~」を掲載してくれているblogをチェックしていたら 2月の半ば以

水野さんありがとうございます

何気なく、いつものように干場社長のブログを見ていた訳ですよ。 >人気ブロガーの水野俊哉さんが、12月31日に、「2008 ブロガーマトリック...

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No title

このたびはとりあげていただいてありがとうございます!

本の制作過程で考えていたこと=読むだけに終わらずいかに行動してもらうか? せっかくだから50冊に共通する成功法則を発表しよう!  いかに最初から最後まで読んでもらうか など編集部分のご指摘はさすがですね。

書いている時は、祈るように書きました。
今でも 成功とは何なのか? ふと気がつくと考えていることがあります。長くなるので次作で書きます。ただ、成功したい人はもちろんのこと、今、大変な思いをしている人にも読んで元気を出して欲しいです。

水野俊哉

成功とは何でしょう?

水野様
コメントありがとうございます。

本当、成功とは何でしょうね。
でも、多くの人が「成功」を求めているのは間違いなさそうです。
叶わない夢は無い、として、叶ったあとどうするかまで考えておくことが大事そうですけど。

ビジネス本記事

はじめまして。

ビジネス本関連の記事、楽しく読ませていただいています。

私、日経エンタ誌ライターの大澤と申します。勝間さんやディスカバー社長さんなどなど、ビジネス本界隈を取材している者です。4月4日発売号で4p程度の記事になります。

若だんなさんと論点近いので、コメントします。

本当はどういう原稿になるかをお見せして議論を深めたいのですが、未発売雑誌ゆえそうもいかないのが残念です。

ひとつだけ言えるのは、社長室ブログでも触れられていましたが、ディスカバー社長さんのキャラがビジネス本界隈で起きている変化の象徴だと思ってます。

No title

若だんな様

最近は極論ですが「みな成功している」と伝えたい時もあります。
それとは別に「誰でも一度くらいは成功する」という言い方も70%くらいは正しいようにも思えます。
ただ、「お金持ちになるよりお金持ちでい続ける方が難しい」というように「自分にとっての成功した状態を維持し続ける」方がより難しいのは事実だと思います。

とらっくばっく というものに挑戦してみます。
失敗してたらすいません。

水野俊哉

水野さんのトラバ大丈夫です

水野様
コメントありがとうございます。
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fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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