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知ら(されてい)ないことばかり:秘密とウソと報道

知らないことがあるのは構わない。

でも、自分たちの都合で「知らせない」事が多すぎないだろうか。
とくに、それがマスコミだったらば、どう考えたらいいのか。

この本は、そういう本でした。

秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)秘密とウソと報道 (幻冬舎新書)

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ガッキーファイターこと日垣隆さんの本。

まあ、よくもこれだけ沢山書くことがあるものだと思う人なのだけど、
今回もこの方たらではの本だと思う。

『秘密とウソと報道』は、アマゾンの紹介によれば
>鑑定医が秘密をバラす相手を間違えた奈良少年調書漏洩事件。「空想虚言癖」の典型的パターンに引っかかった「週刊新潮」大誤報。賠償額が高騰する名誉毀損訴訟。数々の事件で、メディアが一線を越えるか踏みとどまるかの分かれ目は、秘密の手に入れ方・バラし方、ウソの見破り方の巧拙にある。それを「言論弾圧」「取材力の低下」としか語れないのは、ただの思考停止、メディアの自殺行為だ―秘密とウソというユニークな視点から、「ジャーナリズムの危機」に斬り込む挑発の書。

目次を見ると、この本が何を書こうとしているか、そしてそれがどれだけ幅広いかわかる。

目次(Amazon紹介ページから)

第一章 「正義」のイヤらしさ
伊藤博文のお妾遍歴を暴く明治時代の新聞
かつて新聞は週刊誌の機能も果たしていた
不義密通をネタに新聞連載を始めた島崎藤村
自分が引導を渡した死刑囚に無関心な元検察官 等

第二章 他人の秘密は蜜の味
秘密の正体は必ず誰かが知っている
ヘアヌードを一冊二〇ページ以上載せられない週刊誌
政府広報は新聞記者のメシの種 等

第三章 スクープかフェアネスか
山崎朋子『サンダカン八番娼館』的問題
社会正義のためなら泥棒しても許されるのか
警察の内部資料を全部コピーしてしまった佐木隆三さん
『自動車絶望工場』の取材方法はフェアではない 等

第四章 奈良少年調書漏洩事件
供述調書の丸写しでできあがった本
崎濱医師の鑑定は発達障害の少年への逆差別
「公権力の介入を招いた」以前のお粗末な経緯
精神鑑定書の著作権は精神科医のもの? 等

第五章 「週刊新潮」大誤報事件
ウソに引っかかるケースの典型的パターン
「空想虚言」の四つの特徴
カネも売名も目的ではない、快楽としてのウソ 等

第六章 この世はウソの地雷原
ウソには五つの種類がある
坂本弁護士一家失踪事件、「謎の男」の証言
ウラ取りが全然できなかった江川さん 等

第七章 足利事件――誰が捏造したのか
「精液のDNA型が一致」と発表した科警研
肝心の質問にまったく答えられない技官たち
血液型診断の精度をちょっと上げた程度のレベル
DNA型鑑定第一号のPR材料にされただけ 等

第八章 名誉毀損――高騰して何が悪い
「『サンデー毎日』は電車賃をケチる」は名誉毀損か
名誉毀損高額化の言質を取りつけた公明党議員
高額判決は本当に理不尽なのか
初の一○○○万円支払いを命じられた空想虚言記者 等

第九章 リスクとチャレンジと謝罪
いわゆる「西山事件」こと外務省機密漏洩事件
不買運動で毎日新聞の部数は五〇万部減
単なる特ダネほしさで二人の人生を破滅させた 等

第一〇章 有料ジャーナリズムの終焉?
一五七万部から七万部に落ちた「サンデー毎日」
定期購読者三万人で儲けるビジネスモデル
雑誌ジャーナリズムは死なない 等


どれも「ジャーナリズムは何を間違えたために、いまこんな状態なのか」について
検証していると言える。

ジャーナリズムと言うかマスコミと言うか、報道機関というか。
そうした存在は、とにかくいろいろと「間違えている」から、いま死にそうなのに、
ちっともそれに気がついていないように見える。

その象徴となる事件と問題を取り上げて、何を間違え、なぜ間違えたのかを説明している。

日垣さん自身が過去に取り上げたり調べたりした問題もあるし、
今回、調べた事件もある。

いずれにしても、私たちが一度は目にしたことがあり、そして知られなくなったことが多い。
日の目を見なくなったと言うよりも、報道を避けてきたと言うような問題が多い。

だから、知らない、というよりも、知らされていない、と言う問題なのだ。
それは、報道機関が仲間内のミスを報じたがらないと言う習性に基づいている。
他人の問題を暴くのを好みながら、自分のミスは棚に上げるのが報道機関の常だから。

中でも、自分でもエントリを書いた「西山事件」について、
その情報が何を含んでいるかよりも、その情報を得る過程で
西山記者がどういう人間であったかに焦点を当てて批判しているのが、日垣さんらしい気がする。

関連エントリ:西山事件と情報公開訴訟

先日の事業仕分けでも注目された「思いやり予算」につながる密約に関する文書について、
その情報を外務省から西山記者が手に入れた過程(情を通じて、という点)が注目され、
そのお相手の女性は、審議の過程で毎日新聞と西山記者のために離婚することになり、
大きく人生を狂わすことになった。

ところが、この事件が公権力の圧力という側面からばかり扱われるようになり、
西山記者がジャーナリストとしてクローズアップされるようになったことで、
いまや、彼女の存在や彼女の人生に、
西山記者が全く呵責の念を感じているふうがない事に、日垣さんは着目する。

新聞記者のやったことにしては、
情報源の秘匿が守られていないうえに、
最近では、その情報源があったことにすら触れていないではないかと。

この本では、こうしたフェアネスのないスクープやノンフィクションを徹底的に糾弾している。

もうひとつ、私が印象深いのは、奈良少年調書漏洩事件で、精神鑑定医を騙して調書を撮影し、
その内容を丸写ししたような本を出版した著者が、情報源の秘匿にこだわり、事情徴収で
「私の仕事はジャーナリストなので、ニュースソースは言えない」と言い続ける場面。

この人は、「ジャーナリスト」に憧れて、
罪を犯してでも「ジャーナリスティックな仕事」がしたかったのだろうけど、
「ジャーナリストは情報源を秘匿するものだ」という概念だけあって、
それがどういう事か(結局、情報源だった精神科医は逮捕されている)、
どういうふうに行われるべきかを理解していないのだ。

そして、そのことに日垣さんは怒っている。
ジャーナリストヅラするな(と書いてないけど)ということだろう。

つまりこの本は、日垣さんがジャーナリストを続ける上で、
同一視されたくない人、事件、状況を怒っている本なのだ。

こういう本を読むと、また

ジャーナリストってなんだろう

と思ってしまうのだけど、
そういうことを考えるには、この本は良書だと思います。
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fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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