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渋谷の奥地で時間が結晶するのを見た:綺想の恋愛詩人ジョン・ダン

金曜日の渋谷など行く物じゃないと思いつつ、事故で止まっている田園都市線の改札をでた。

副都心線で渋谷まで行っても、そのまま地上に出ないで田園都市線のホームに行くのは、
乗り換える為じゃなくて、あのスクランブル交差点を渡らないため。

田園都市線の渋谷駅の一番池尻よりから出れば、目の前は109。
ある程度の混雑を通り過ぎてから地上に出られる。
まあ、109のエスカレーターをあがるときに世間も見られる。

東急本店通りを上って、ドンキホーテの先を左に折れ、
突き当たりのラボホテルは見るだけにして、一本手前を左に曲がる。

暗い路地を行けば階段が現れる。そこを上ったマンションの一角が会場だった。

渋谷の奥地のいかがわしい界隈にポスターハリスギャラリーはあった。
チケットは1ドリンク付きで3000円。
舞台とおぼしき場所には真っ赤な布がヌメっている。
20091023194641.jpg

今日は、ここで朗唱劇 綺想の恋愛詩人ジョン・ダンを見る。

ジョン・ダンは、16世紀から17世紀にかけて実在した詩人で、
シェイクスピアと同時期の人。
詩人でありながらイギリス国教会の司祭になったという経歴が反映した詩を書く。

>ダンの作品はウィット(機智)にも富み、またパラドックスや駄洒落、微妙なしかし注目に値するアナロジーを含んでいる。ダンの作品は時に、とくに愛と人間の動機に関して、皮肉的である。ダンの詩に共通のテーマは、愛(とくにその人生の初期の)、死(とくに妻の死後)、そして宗教である。wikipediaより

その詩の中から9編を選りすぐって、一人芝居と朗読の混在に仕立てたのが、
この「朗唱劇」で、田村連さんの十八番とも言うべき舞台。
8年ぶりの再演だそうだけど、私は前回公演も含めてそのほとんどを見ている。

以前は、同じ渋谷の画廊・美蕾樹(ミラージュ)で上演された。
今回も同じくプロデューサー生越燁子さんの企画である。

前回は翻訳した河村錠一郎先生が会場にいらしたような覚えがある。
その河村先生がジョン・ダンについて書いている。
>女殺しと噂された、シェイクスピアとほぼ同時代のこの詩人は、
奇想天外な比喩や論法を駆使して、官能的で、思索的で、あけすけて、こころやさしい、実に多彩な恋愛詩の数々を世に送り出した。かと思うと、後年、歴史にその名を留める名高い坊さん(聖ポール大寺院の主任司祭)として、聖衣と栄光に包まれた半生を送った。王様の臨席する大寺院で名文を華麗に操った説教をし、大病に倒れ死に近いことを悟ると、死装束に身を包んでモデルとなり肖像を描かせた(この彫刻が現在も聖ポール大寺院にある)。若いときは出世を棒に振って駆け落ちまでして愛する人アンと結婚したダン。これほど複雑で、またその複雑を矛盾と感じさせない男は滅多にいまい


上演時間は約50分。
私にしては珍しいことに内容を覚えていた。
構成も台詞の一部も覚えていた。
よほど印象に残っていたんだなと我ながら驚く。

ジョン・ダンの言葉が田村連さんの口から出ると、
文字面では感じにくいリアルが突然目の前に現れる思いがする。
難解で言葉遊びと皮肉に飛んだ言い回しが、現実化する。
そこが、田村連さんという役者のすごいところだと思う。

抽象的で耽美な物、存在はわかるけれども実在がイメージしにくい物ほど
田村連さんの存在にピッタリとはまってくる。
そこにいるのが連さんではなく、そこにある存在となってくる。

今回、舞台を見ながら、私は別の人のことを考えていた。

沢田研二。ジュリーである。

ちょうど一週間前に荒木町で飲んでいて、
その店で沢田研二東京ドーム公演のDVDを見た。
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正直最近のジュリーにはがっかりしていた。
あんな太っちゃって、藤山直美と和の芝居してんじゃないよ、
とか思っていた。

ところが、このDVDの中のジュリーは、太ってはいたけどものすごく格好良かった。
間違いなくジュリーだった。
しかも、若いときのジュリーが放つ怪しさが人工的だとしたらば、
還暦になったジュリーは、天然の怪しさで妖艶なのだ。

そして、この公演で見た連さんも、同じだった。

もともと退廃美の似合う人なのだけど、
60歳近い年齢になっても枯れること無く、妖艶で、色っぽいのだ。
それでも、寄る年波には勝てずにやや容姿が崩れてきている。
それがまた、いいのだ。
ピンと張った肌が放つピンクの妖艶ではなく、
やや張りを失った、しわのある肌が放つ紫色のオーラ。
そこに漂う妖気は、腐りかけの果実ほどうまいのだという言葉を思い出させる。

30年近く見てきて、その若かったときも知っている役者さんが
こういう変化を見せていることを知るのはショックでもあり喜びでもあった。

青年をすぎて、終わりかけの若さのなかで上演されたのが前回のジョン・ダンだとすると、
初老を超え、本当の老いの手前で足掻き、のたうつ中で見せる輝きを知ったのが今回。

そんな思いがした。

そして、この役者が、本当の老いの中で次にどんな輝き方をするのか、
それともこの人でも老いるのか。
本当に楽しみで、ますます目が離せないなと思った。
見続けてゆきたい役者さんなのだ。

今日午後に2回公演があります。
■ 10月24日(土)
 OPEN 16:30/START 17:00   
■ 10月24日(土)
 OPEN 19:30/START 20:00   
料金 一般:3,000円 学生:2,500円 (1ドリンク付き)
  定員40名/全席自由
お問い合わせはポスターハリスギャラリーまで。
 ポスターハリスギャラリー
 〒150 - 0043
 東京都渋谷区道玄坂2丁目26番18号 朝香ビル103号
 TEL : 080-2023-0499  FAX : 03-3463-2992

最後に、この映画で白いスーツを着て主役の女性二人に挟まれるお坊ちゃんが
田村連さんです。
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初めまして。

沢田研二に反応しております。

『天然の怪しさで妖艶なのだ』というくだりが、褒め言葉として私の中にすっと入ってきました。80曲、6時間半ずっと立って見続けていたファンは、ハラハラしながら見届けました。
ノーカットでのDVDに拍手喝采を送りましたが、こういう風に観てくださる方がいて、非常に嬉しいです。

機会があったら、コンサートにも足をお運びください。1月にありますにで。
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プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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