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【新宿】今週末は花園神社の例大祭です



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(写真は4travel.jpから)

すでに新宿界隈では軒にしめ縄を飾る家もあり、すっかり例大祭気分です。

新宿・花園神社で「例大祭」-氏子八町会みこしが練り歩き@新宿経済新聞

花園神社(新宿区新宿5)で5月25日~27日の3日間、例大祭が行われる。

 例大祭は、毎年5月の28日に最も近い土曜・日曜・月曜に行われる重要な祭祀(さいし)の一つ。初日25日には宵宮祭、26日には大祭式、27日には後宴式がそれぞれ行われる。



神輿が練り歩くんですが、我が家の前を通るんですよね。
しかも、休憩場所だったり、担ぎ手の交代場所だったりするので、日曜日は凄いことになりそうです。

花園神社

25年度例大祭斎行の件
本年度例大祭日程
5月25日(土)宵宮祭
   26日(日)大祭 11時半に町会神輿連合渡御宮出し
   27日(月)後宴祭の3日間の予定です。

尚、24日(金)25日(土)26日(日)の三日間は境内に露店が出店する予定です




露天は24日の夜からあるようですので、楽しみですね。

花園神社例大祭@るるぶ.com

平成25年(2013年)は陰の年のため、26日(日)に花園神社氏子8町、8基の神輿が神社に集合し、連合で明治通り、靖国通り、新宿通りを渡御する。一方、表の年には、獅子頭と島田囃子をのせた山車を先頭に本社神輿と雷電神輿の2基の宮神輿が渡御する。



今年は境内で見られる山車は出ない年なんですね。
残念ですが、それでも楽しいですから、ぜひ副都心線で横浜方面の方もどうぞ。

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【裁判】継続的な馬券購入は経費:この裁判のメディアごとの反応の違いが面白い



一部のマニアの耳目を集めていた事件の判決が出た。

競馬配当の所得を申告せず…元会社員に有罪判決@YOL

競馬の馬券配当で得た約29億円の所得を申告しなかったとして所得税法違反(単純無申告)に問われた元会社員の男性(39)に対し、大阪地裁は23日、懲役2月・執行猶予2年(求刑・懲役1年)の判決を言い渡した。



これが、通信社からだと見出しが異なる。

外れ馬券、経費と認める=元会社員に有罪判決-所得税法違反事件・大阪地裁@時事ドットコム

 競馬の予想ソフトを使って勝馬投票券(馬券)を購入し、多額の利益を得たのに確定申告しなかったとして、所得税法違反(無申告)罪に問われた大阪市の元会社員(39)の判決が23日、大阪地裁であった。西田真基裁判長は最大の争点だった外れ馬券の購入費について、「経費に当たる」と認めた上で、「申告義務があることは認識していた」として、元会社員に懲役2月、執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。



見出しだけではなく、書き出しで何を書いているかで、かなり印象が異なる。


読売は「29億円の所得を申告しなかった」事件の「有罪判決」という書き方で、この事件の争点を最初に持ってきていないのに対して、時事通信は「多額の利益」と金額を出さず、しかも「最大の争点」を明示している。

この裁判は、読売新聞が書いたような「所得逃れ」ではなく、時事通信が書くように「外れ馬券が経費かどうか」という裁判だろう。

実は、読売新聞は、書き出しに続けて、次の段落で

所得から控除できる「必要経費」の範囲が争点となり、検察側が「当たり馬券の購入費しか認められない」と主張したのに対し、弁護側は「膨大な外れ馬券の購入費も必要経費と認め、純粋な利益だけに課税すべきだ」と反論したうえで、無罪を主張していた。検察側は、男性が申告しなかった税金額を約5億7000万円としていたが、判決は約計5200万円と認定しており、弁護側の主張の一部を採用したとみられる。



と争点を明示しており、しかも判決の税金額を書くことで、経費と認めたことを「一部採用した」と記す。

さらに、読売新聞は、裁判長の言葉を載せておらず、判決理由をはっきり書いていない。
時事通信によれば、

西田裁判長は「一般的には競馬は趣味、娯楽であり、馬券購入費は楽しみ賃で経費に含まれない」と位置付けた。その上で、元会社員の馬券購入は「継続的、反復的でほぼ全レースにわたっており、利益を得るための資産運用としてみることができる」と述べ、元会社員の利益は雑所得に当たるとした。



ということで、一般的には経費じゃないけど、この人は尋常じゃない金の突っ込み方をしていて、それはもう「楽しみ」じゃなくて「資産運用」だから、経費にしましょう、と言っているわけだ。

なぜ、読売新聞は、こんな大事なことを書かないのだろう。
理由として考えられるのは、読売新聞は、現場に行ってないのだろう、ということだ。
裁判に立ち会わず、流れてきた資料だけで書いているのだろう。

時事通信は、判決を見ているから明確に書ける。

でも、この裁判は、実に面白い裁判だし、確実にニュースバリューがある。
私は、mixiニュースで知ったわけだし、ネット界隈にも流れるだろう。
その判決を見に行った時事通信と、見に行かなかっただろう読売新聞。

同じ判決を、他のメディアはどう発信しているのだろう?

競馬所得「脱税」で有罪判決 外れ馬券は経費認定 ー元会社員に大阪地裁@日経新聞

競馬の払戻金を一切申告せず、約5億7千万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた元会社員の男(39)の判決公判で、大阪地裁(西田真基裁判長)は23日、弁護側の主張通り、外れ馬券も含めたすべての馬券代を経費と認めたうえで、男に懲役2月、執行猶予2年(求刑懲役1年)を言い渡した。検察側は「当たり馬券代のみが経費」と主張していた。


読売と似た臭がする。

判決が出る前の日からネットでは注目されていたようだ。

外れ馬券は「必要経費」か? 巨額「競馬脱税事件」の判決の行方は?@ITメディア(弁護士ドットコムの流用)

この記事中の弁護士さんは「雑所得になる」と予測し、結果、そのとおりになった。
なかなか鋭いのね、という感じがする。

人ごとではないのは、馬券購入者が主に読むであろうスポーツ新聞。
こちらも前の日から、この裁判に注目していたようだ。

ハズレ馬券は必要経費? 気になる司法判断「法が時代からズレている」との指摘も@ZAKZAK

23日、競馬ファン注目のトピックスが2つ。第80回日本ダービーの確定と、競馬で得た所得を申告しなかったとして所得税法違反に問われた元会社員男性(39)に対する大阪地裁での判決公判だ。「ハズレ馬券は必要経費か」の司法判断に関心が高まる。



夕刊フジやサンスポを持つ産経グループですから注目してますね。
さらに、やはり東スポ。

ダービーウイークに恐怖の判決@東スポweb

外れ馬券の購入費用は経費として認められるか――。競馬で得た所得を申告しなかったとして、所得税法違反の罪に問われた元会社員の男性(39)に大阪地裁が23日、判決を言い渡す。初の司法判断とみられ、競馬ファンの関心が高まっている。



なるほど、ダービーウィークに司法判断が出たわけか。
それは、かなりのポイントですな。

そして判決を伝えるスポーツ新聞。

初の司法判断「外れ馬券は必要経費」 元会社員、脱税は有罪@スポニチ・アネックス

競馬の払戻金への課税で、外れ馬券が経費と認められるかどうかが争われた刑事裁判の判決で、大阪地裁(西田真基裁判長)は23日、「必要経費に含まれる」との判断を示した。その上で、2009年までの3年間に5億7千万円を脱税したとして所得税法違反(単純無申告)に問われた大阪市の元会社員の男性(39)に懲役2月、執行猶予2年(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。



スポニチ・アネックスでは、「競馬脱税事件」裁判についてのアンケートまで行う取り組みよう。


メディアの性格なのか、この判決の捉え様の空気感の違いが面白い。

ただ、馬券購入が経費になると言っているのではなく、資産運用と認められるくらい継続的に馬券を買わなきゃダメらしいので、そのへんはお間違えなく。

そうなると、何より井崎脩五郎さんの今後の納税額が気になってくるところだなあ。
あれは芸で外しているんだろうから、経費にしないといけないんじゃないですかね?

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(井崎脩五郎さん)

【考察】新卒者が採用されない会社は何かを忘れている



こういう記事を読むと、反射的に反論を考えたくなる。

【オピニオン】新卒者のみなさん、私は君たちを採用しないだろう@THE WALL STREET JOURNAL

「釣り」気味のタイトルだが、示唆するものは多い。

IT系で活躍しているという筆者は、大学を卒業するみなさんへ、とはじめて、こう書く。

私はみなさんにとって、憧れの上司かもしれない。私はデジタル分野で成長著しい、素晴らしい企業を経営している。仕事は面白いし、やり甲斐がある。 しかし、残念なニュースをお知らせしなければならない。それは私がおそらく君たちを採用しないだろう、ということだ。



そして、その理由として、続ける。

我が社に空いているポストがないから、というわけではない。それどころか、私は才能のある新しい社員を常に探している。適切な技能を身につけた人が私のオフィスにやってきたら、魅力的なオファーを手にオフィスから出てくることになるだろう。問題は、適切な技能を持った人材を見つけることが非常に難しいということだ。こんなことを言って申し訳ないのだが、大学を卒業する君たちはおそらくそのような技能を持っていない。



アメリカは6月が卒業シーズンだから、日本で言えば、3月に書くネタだろう。
新卒生の能力不足と、それは個人の問題ではなく、構造的な問題であることを、大学までのカリキュラムの不足を指摘して、もっと【実用的な学問を】とか言い出す話だ。

社会が必要としている人材を大学は養成していないと嘆くわけだ。

でもチョット待って欲しい。大学は企業の人材養成機関なのか?

わかっている。こういう問いを掲げるというのは、ブログによくある手法でもある。
だから、それだけを言うつもりは、私にはない。

この記事が1つだけ良いところは、社会改善の話に落とさずに、個人が出来る事を提案していることだ。

一般の人にあるのは情報システムの仕組みを知る能力だ。そういう知識があれば、他の人とシステムについて議論するときに私たちは役立つ存在になれる。



この記事を取り上げようと思ったのは、この点だ。

メディアやテクノロジー、またはそれに関連する分野で働きたければ、今年の夏の間に基本的なコンピューター言語を習得することを目指せ。助けてくれるサービスはたくさんある。無料のサービスもあるし、手ごろな価格で利用できるものもある。



これは、アメリカだけの話ではなく、日本でも共通の話だと思う。

日本人のビジネスマンは、プログラミングについて無知すぎる場合が多い。
そして困るのは、文系だからとか、専門家の仕事だからと言った意味のない理由をつけて「知らなくてよい」と開き直ることである。

デザインとプログラミングに関する知識は、今後ビジネスで必須の知識になると、私は考えている。

以前書いた連載記事でも、この点を意識して書いている(このエントリとか)

世界を生み出す知識と世界を構築する知識だからだ。

特にプログラミングというのが、どういうものか。
どういう風にして世界を構築していくのかを知ることは、今後必ず必要になるし、知っている人と知らない人では大きく差がついてしまうだろうと思う。

それはすでにビジネスの世界で起きている「差」でもある。
社長が、デザインやプログラミングに「理解」(及び知識)を持っている企業が伸び、そうでない企業は停滞している。

そういう企業の代表が、ユニクロであり、ローソンであり、楽天であり、ソフトバンクである。

ただ、この記事の筆者が言うのは、少々誇張があるとは思う。

全体像が描ける程度にコンピューター言語の文法とロジックを独学で身につけてほしい。APIに詳しくなれ。パイソンも少しかじっておけ。それだけ知って いれば、ほとんどの雇い主は十分だと思うだろう。少なくとも2つのプログラミング言語に詳しいと言えるようになったら、履歴書の送付を開始しよう。



APIは知っていたほうがいいかも。
HTMLとWebの関係とかは理解してないとまずい。

だけど、こうした知識は、「大学で習うべき知識」なのかどうか。
さらに「高校までで教えられるべき知識」なのかどうかについては、疑問がある。

今や高校では「情報」の授業というのがあるそうだから、学んでいるのだろうけど、できれば、そういう所では「哲学」が身につくようにして欲しい。
高校で学ぶべきは、「世界の本質」なのだと思う。

数学の描く完全な世界、歴史上の事実から見えてくる人類の共通性と地域間の相違、科学の持つ厳密さと再現性という考え方。
そこに盛り込まれる事実の羅列も大事ではないとは言わないが、その背景に流れる本質を学ぶのが高校までなのではないか。
大学は、専門の世界の入り口を体験し、深遠なる学問の世界を覗きこんで、真理に敬意を持つ人間になることが大事だし、サークルを含む人間関係の構築は欠かせない。
自分以外に多くのタイプの人間がいることを学ぶ(座学でも実際にも)のが高等教育なのではないだろうか。

だから、ビジネスに必要な「実用的な知識」は卒業後に学べばいいのではないかと思う。

その期間を経てから企業に入るか、企業内で研修として学ぶか。
もちろん、そういう時代じゃないときに企業に入った人たちも、学ばなければならない。
新人にばかり「知識」を求め、先に企業に入った人が「学ばなくてよい」というのは道理に合わない。

学んでいるかどうかで評価して、学んでいない先輩社員は出世できないというのがフェアというものだろう。
「企業において必要な知識」なのだから。

先に生まれたから「先生」なのだ、といった人がいたけど、先に生まれただけではなく先んじていてくれないと。
だから、新入社員は取れないね、という話ではなくて、採用基準がそう変わっている以上は、社内でも評価基準は新しくしないといけないし、新入社員以上の先輩社員ばかりの会社じゃないといけないのではないだろうか?

そうじゃないと、本当に優秀な新入社員は、先輩社員をナメルし、そんな企業は一刻も早く「卒業しよう」と思うだろう。

新入社員を育て、かつ先輩社員も学び続けられる企業であることが、優秀な企業で在り続けるには必要なのではないだろうか?
そうじゃないと、優秀な新人に先輩が取って代わられるか(それはそれでいいんだけど、そんな幸運はなかなか無い)、新人が定着しないブラック企業となって社員の平均年齢が上がり続けるか、いづれにしても先がある会社とはいえないと思います。

だから、こういう記事は、実は、書く側、採用する側の問題を忘れていることが気になるのですよ。

こういう本の最新版ってないんですかね?
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なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?なぜ日本の大学生は、世界でいちばん勉強しないのか?
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【読書】二流という「生き方」はありだと思う:『二流で行こう』ナガオカケンメイ




この本を手に取ったのは、歌舞伎座近くの書店で歌舞伎関係の書籍を見ていたとき(こちら)だった。
4月上旬で、ちょっと考えていることが有った私は、きっと頭のどこかで何かきっかけを探していたのだろう。

その時、目に飛び込んできたのが刊行されたばかりの本書だった。

著者のナガオカケンメイ氏への興味も有ったが、何よりもタイトルに惹かれた。

『二流で行こう 一流の盲点 三流の弱点』と言うタイトルが、その時考えていたことと見事にシンクロしたのだ。

二流でいこう ~一流の盲点、三流の弱点~二流でいこう ~一流の盲点、三流の弱点~
ナガオカケンメイ

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ナガオカケンメイ氏の自分史をからめながら、「二流」と言う立ち位置、立場、存在の「重要性」について語っている。

つい、人は、一流だけを重要だと思い、皆が「即席で」一流になりたがる。
その結果、価値観が粗雑で、人の意見を鵜呑みにし、経験よりも情報ばかりを大事にする、三流ばかりの社会になってしまう。
まさに今が、そういう時代なのではないか。
それが、ナガオカケンメイ氏の危機感であり、そんな時代に、三流に、一流の言葉を翻訳し、伝えるのが二流の存在意義であり、立ち位置なのだと、様々な例(自分のことを含めて)を交えながら、繰り返し説いているのが本書である。

良書かといわれると、そうはっきりとは言えない。
何だかわからないと思う人もいれば、何をこんなことを書いているのだと思う人もいるだろうという本である。

しかも、この本は、はっきり言って、くどい。
何度も同じ話をしているようにみえる。
でも、それは、繰り返しいろんな方向から書かないと、三流を自覚していない三流の人には理解できないことを著者がわかっているからなのだろうと思う。

その意味では、とても読み手を選ぶ本なのだ。

しかし、私には、とても納得がいく本でも有った。

私は「二流」ではなく、「中等」と言う概念で、同じようなことを考えていたところだったからだ。

中庸でも、中流でもいいのだが、要はアッパー層とロアー層をつなぐ立ち位置が重要だという点では、この本で書いている「二流」のあり方と似ている。

アッパー、ロアーという言葉も収入とか、生活水準という物理的な価値の意味ではなく、生き方とか、センスというような質的な価値におけるアッパ、ロアーだという点でも、この本と同様である。

私の中には、「上等」と言う言葉への憧れというか執着があって、これは、沖縄弁で「じょうとおさあ」と言う時の「じょうとお」なのだけど、「人として上等であること」というのが目標だったりするのだ。

英語で言う「SMART」に近いのだけど、もう少し上品さと洗練を兼ね備えた感じ。

自分ではなれないなあ、とも思うけど、どういうものが上等なのかはわかると言う自負もある。
それは、バブルの頃に沢山の上流紳士とエセ上流紳士を見たと言う経験の有無が大きい。

バブルというのは、金の使い方だとか人との接し方において、身についたものがある人と、身につかない人というのがあるということを身を持って知った時代だった。
経験しないとわからないけど、経験したからといってなれるものでもない、ということを知った時代だった。

私を含めた、その辺の経験値を持っている40代後半から50代半ばというのは、まさに、この本で言う「二流」のメインストリームのようだ。
ナガオカケンメイ氏も1965年生まれで、まさにその世代。
団塊世代と団塊ジュニア世代という多数の間で、日本社会の移り変わりを眺めていた世代だ。

そして、団塊世代以前のアナログの良さと、ポストバブル世代のIT中心・デジタル世代の両方が理解できる世代として、社会のつなぎ役を求められる世代。
そのあり方を、ナガオカケンメイ氏は「二流」の役割なのだと書いている。

それが「二流」なのかどうかは置くとして、このつなぎ役の世代がどういう働き方をするかで、これからの時代の方向性が変わってくるかもしれないというのは、自分でも感じているところだった。
その立ち位置で、今後自分がどういう仕事の仕方、働き方、生き方をしていけばよいのか、それが冒頭で述べた「私の考えていたこと」だった。

そして、この本を読んで、まさに思いを強くした。
2つの世代、2つの世界を繋ぐ役割が、まさに重要な時代であり、それが私達プレバブル世代(バブル世代のちょっと前)の役割なのではないかと。

アナログの仕事のやり方とデジタルの仕事のやり方の良いところを融合する。
そのために、まず、お互いの仕事のやり方を通訳し、理解させる。
そして、一気呵成に進みそうな動きを、少し減速させ、着地点を探す。

それが、「中流」のありかたなのではないか。

この国は、トップダウンでもボトムアップでもなく、中流が落とし所を探る社会として長く動いてきた。
その良いところがなかなか見えないまま、悪いところばかりをあげつらい、国際競争に勝つためには削ぎ落とさなければならないもののようにスピードアップ、グローバルという言葉が叫ばれている。
でも、体がついて行かないものは、やはり副作用が大きい。

そういうことを考えるときに、この本を読んでみてほしい。
最先端で走っている人が、何に苛立っているかがわかる。
そのいらだちは、日本を振り返らない一流にも、一向に湧き立たない三流にも向けられている。

そういう本である。

二流でいこう ~一流の盲点、三流の弱点~二流でいこう ~一流の盲点、三流の弱点~
ナガオカケンメイ

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ナガオカケンメイの考え (新潮文庫)ナガオカケンメイの考え (新潮文庫)
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【読書】脳科学だけじゃない問題だけどね:脳科学がビジネスを変える

脳科学がビジネスを変える―ニューロ・イノベーションへの挑戦脳科学がビジネスを変える―ニューロ・イノベーションへの挑戦
萩原 一平

日本経済新聞出版社 2013-02-19
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この本は、NTTデータ経営研究所が主催する応用脳科学コンソーシアム(CAN)の事務局長である萩原一平氏が、「脳科学の産業応用」というテーマで書き下ろしたもの。

いわば、自分の研究所の成果とかコンソーシアムでの研究成果などを語るポジショントークにすぎないのだろうと高をくくっているとエライ目に合う。

そういった側面が全くないとは言わないが、実に真正面からビジネスへの脳科学の応用について、丁寧なリサーチのもとで書かれたものである。
巻末の注の多さ、引用文献の多さを見ても、この本が並のビジネス本ではないことがわかるだろう。

目次を見ると(NTTデータ社の本書ページより)


序章進む脳科学のビジネスへの応用
第1章意思決定の脳科学-脳は意思決定をどう行うのか
第2章経営に脳科学を活かす
第3章マーケティングに脳科学を活かす
第4章R&Dに脳科学を活かす
第5章グローバル化に脳科学を活かす
第6章遅れる日本の応用脳科学-求められるオープン・イノベーション
終章脳から考える日本の発展-日本人にとってのスマートパワー
参考脳の構造と仕組み



脳科学に興味のある方にとっては、最後の参考という章を読むだけでも随分とこの分野のことがわかることだろう。
さらに、参考文献も用意されているので、ガイドとしても優れている。

本書のベースとなる脳科学へのアプローチは、まえがきで謝辞を述べられている研究者お二人の名前から想像がつく。
ATRの川人光男先生と、カリフォルニア大学の下條信輔先生。
つまりBMIと無意識下の意思決定だ。

この2つは、脳科学をビジネスに応用する点でも鍵となる学問だから、当然なのだけど、BMIと潜在意識は、いわゆる「神経経済学」をあわせて、人間の行動を脳活動から見る、という点が特徴的だといえる。

しかし、脳だけ見ても何もわからないというのもまた脳科学研究では常識だったりする。
確かに、脳研究は脳画像の可視化で大きく飛躍した。特に人間の脳を見ることができるようになったのが大きかった。
サルの脳活動やネズミの脳活動からわかることは多いが、やはり人間と同じとはいえない。
だから、人間の脳の断面図の写真を見て、こんなふうに動いているといわれると、納得してしまいがちになる。
でも、それはまた、一方的な脳の見方であって、瞬間では何もわからないのだ。
静止画ではなく動画で、時間軸を入れた研究でなければ、「動き」を見たとはいえないのではないか。
瞬間的な脳神経の発火だけでは、細胞間のリレーションも見られないし、部位間のコネクティビティもわからない。
それでは、脳の中の、ある場所を見ているのに過ぎなくて、脳を見たとはいえないという指摘がある。

この本の優れているのは、そうした、脳科学に対する疑問や、脳研究に関する倫理、似非脳科学の問題についても目配りされているところである。

さすがに、Amazonの科学読み物で池谷裕二先生の著作を抑えて2位(5月1日15時現在)なだけはある。
やっぱり、お客様方はお目が高いのだ。

でも、こ脳科学研究の成果を生かせない日本の行政や企業の立遅れを嘆いている論説を読んでいるうちに、その裏側で萩原さんの「またか」という歯ぎしりが聞こえてきたような気がした。

そう「またか」なのである。

脳科学をマーケティングやR&Dやマネジメントに活用しようという欧米及び中国、韓国の機運が高まっている。
それらの国に比べて、日本の脳科学研究が遅れていることはない。
政府もお金をつけているし、研究者も各国に対抗するだけの基礎研究の成果は出している。

問題は、その成果を活かそうという機運がビジネスの側にないことなのだ。

だから、この本のタイトルは扇情的なまでに「ビジネス」を煽っている。
赤字だもんね。

問題意識は、そこにあるのだろう。

脳科学研究だけの問題ではなく、心理学やマーケティングでもいい、研究に従事してきた専門家を採用して、適切な部署に配置している企業がどれくらいあるだろうか。
さらに、企業内で専門家を養成することなく、素人の恣意的な判断で物を作り売ろうとする企業のなんと多いことか。

そういうビジネスに科学の視点を持ち込まない日本企業のあり方への怒りが、この本には随所に見られる。

人間の行動を司るのは脳であることは誰もが知っている事実だろう。
(脳だけじゃないけど、そこは大目に見てください)

だからこそ、この本は、脳科学に絞って問題を説いている。
しかし、こと日本企業や日本の官僚が抱えている病理は、脳科学にかぎらず、専門家を遠ざけ、素人考えを押し通すことにある。

そのことに萩原氏は苛立ち、憂えているのではないか。

本書から、私が感じたのは、そういう萩原氏の脳活動だった。

脳科学がビジネスを変える―ニューロ・イノベーションへの挑戦脳科学がビジネスを変える―ニューロ・イノベーションへの挑戦
萩原 一平

日本経済新聞出版社 2013-02-19
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なぜか、一緒に買う本に推薦されていた。
「つながり」の進化生物学「つながり」の進化生物学
岡ノ谷 一夫

朝日出版社 2013-01-25
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サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)
下條 信輔

筑摩書房 2008-12
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脳の情報を読み解く BMIが開く未来 (朝日選書)脳の情報を読み解く BMIが開く未来 (朝日選書)
川人 光男

朝日新聞出版 2010-08-10
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【まとめ】主に行って来たを書いているはてなブログの方の記事

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このブログを書いているFC2ブログで写真入りのブログを書こうとすると、写真をアップする際のサイズが決められているため、iPhoneで撮った写真をそのままアップ出来ません。

サイズを小さく加工しないといけないので、ついつい面倒くさくなるわけです。
旅物を書くのは大変(フリッカーとか使えばいいのかしらん?)

なので、ついつい、そのままアップできるはてなブログの方に「行ってきた」系の記事を書いてます。

fujita244's field

4月に書いたそちらの記事をまとめておきます。

京都の春:京都に行ったら、桜が満開だった件

京都の桜あれこれ:その続き

浅草で待ち合わせ:浅草観光の入り口の件

KITTE、新歌舞伎座、築地でお寿司:東京観光の新定番になりそうな場所を見た件

吉原歴史めぐりに行って来た:明日(13日)は江戸吉原花魁道中があるらしい:吉原は歴史の街なのですな件

新宿御苑の桜はまだ間に合います:桜はソメイヨシノだけじゃありませんな件

渋谷・鳥重はもう閉店したんだなあ:青春の思い出を懐かしんだ件

東京スカイツリーに行ってきた:今更ながら覗いてきたな件

GWも色々見に行きますが、そんなこんなで、単純な写真ブログは、こちらもご贔屓に。
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プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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