FC2ブログ

【雇用】解雇規制の緩和と労働法改正は裏表なのかセットなのか

kyousouryokukaigi.jpg
(写真はイメージです)

「正社員を解雇しやすく」 安倍政権の有識者会議で議論@朝日新聞

 安倍政権が発足させた有識者会議で、「労働市場の流動化」が大きなテーマになっている。衰退産業から成長産業への労働力の移転を促す狙いだ。流動化を実現するために、今よりも正社員を解雇しやすくするべきだという意見も出始めた。



「正社員を解雇しやすい」ということだけが「流動性」ではないのですが、さすが朝日新聞です。

それはさておき、4月1日から前政権が注力した労働者の既得権を守る法改正が始まるというのに、現政権下では労働力流動化が議論されているわけですね。

労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~@厚労省

これは、労働者を有期雇用から無期雇用へと転換する、つまり、パートやバイトのような不安定な雇用を無くし、労働者を守ろうという法改正なはずなんです。

労働組合が背景にある社民党と民主党が推進したんですからね。

でも、結果として、この法律のために、長くバイトやパートで働いた人たちの行き場がなくなるかもしれない。
まあ、いつまでもバイトしてちゃダメだ、正社員になれ、という【まっとうな】考えの人にはわかりにくいかもしれないですが、バイトやパートじゃないと困る(一日に長時間働けない子育て中や介護中の人とか、長期に働くとライブや公演の日に休めない舞台関係者とか)人もいるわけで、雇用形態は自分で選ばせろと思う。

さらに、こういう視点も大事。

解雇規制の緩和は、企業の人事権・業務命令権の低下と引き替えである@人事労務コンサルタントmayamaの視点

解雇規制を議論するうえで忘れてはいけないのは、日本の企業に広く認められている包括的な人事権、業務命令権は、長期雇用保障が前提になっているということです。(略)
つまり、

「労働者がいったん入社したら煮るなり焼くなり企業の好きにしていい、その代わり定年まで責任をもって雇いなさい。」

というのが日本の雇用システムなのであって、裏を返せば、解雇規制を緩和するのなら、今までのように煮るなり焼くなり企業の自由にさせるのはどうなのか、今まで通り労働者に対して広範な権限を行使したあげく解雇規制緩和による解雇の正当性のみを主張するのは許されるのか、ということが問題になると思います。



そして問題なのは、こうした実情は、法改正だけで担保されるものではないと言う点です。

上記の雇用システムはもともと法律に規定されていたわけではなく、日本の裁判所の判断によって形成されてきたシステムです。



法律は、立法府(国会)で作られますが、司法の場は、独立した判断をします(三権分立だからね)。
国会議員が法律を作っても、その運用で行政や司法が歪めている例はたくさんあるわけです。

労働基準法等の法令によれば、「正社員の解雇を容易には認めない」というような規定はなく、1ヵ月前の予告さえあればいつでも契約を自由に解除できるようになっていたのですが、いざ裁判になると、解雇権濫用法理(あるいは整理解雇法理)が適用され、法律で自由とされていたはずの解雇が裁判所の判断によって厳格に規制されてしまうという流れが、世界でも稀なくらいの強力な解雇規制として一般化していったのです。(※現在は労働契約法によって解雇権濫用法理は法定化されています。)



それだけに、法律について議論するときは、運用面を見て行かないとね、ということなのです。
(その点は、この前のエントリでも書きました)

労働者が働きやすい世の中は、やはり、自分で自分の雇用形態が選べて、労働者と会社との間が対等である仕組みのもとで、会社に依存しなくても暮らしていける世の中ではないでしょうか。

社畜もブラック企業の社員も、会社に依存しないと暮らしていけない状況下にあるわけです。
辞められれば自由になるかもしれず、苦しいと言いつつなぜ辞めないのかわからない人もいます。

それは「不安」だから。

会社をやめても転職が自由な「流動性の高い社会」は魅力的ですが、一方で、その流動性に乗るには自分の能力を把握しておく必要があるわけです。その能力が不安だと辞めにくい。

なので、解雇規制が緩和されると首にされやすいから嫌だ、というのが雇用される側の反応でしょうが、これとて悪い話ばかりではないわけです。

あなたの回りにいるだろう、会社が解雇できないことを良い事に居座る「ぶら下がり社員」が減れば、会社は身軽になって、あなたに還元するかもしれない。
そして、その会社にいるべき社員だけになり、そうでない人は別の会社で別の待遇(いいか悪いかは別)を得れば良い。
そのほうが幸せだという考え方もあります。

どっちがいいかは、よく考えてみないとね、というところです。

政権が変わると別の方向に転がっていくのだな、というダイナミズムが感じられる話が、実は雇用問題なのだなと思って、注目しています。
スポンサーサイト



【法律】改正労働法で任期雇用ってどうなるのを調べてみた

saluranamiki.jpg
(東工大の桜並木)

春ですね。春は就職の季節。
この4月1日から、労働法が改正になるのをごぞんじでしょうか?

こういう話って、法律が成立したときは騒ぐんですけど、実際に始まるときには忘れてたりしますよね。

この労働法改正問題も、昨年8月には記事も多かったんですが、いざ4月から始まるのになと思い調べてみました。

元になる法律については、厚労省を見てみましょう。

労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~@厚労省

有期労働契約(※)の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消し、働く方が安心して働き続けることができるようにするため、労働契約法が改正され、有期労働契約の適正な利用のためのルールが整備されました。

※有期労働契約・・・1年契約、6か月契約など契約期間の定めのある労働契約のことをいいます。
 有期労働契約であれば、パート、アルバイト、契約社員、嘱託など職場での呼称にかかわらず、対象となります。



ということで、期間のある雇用(有期雇用)について、5年超えると無期雇用(正社員)にしないといけないというので、企業は戦々恐々。
img_point.jpg

5年前に解雇されるだけだという意見もありますが、雇い止めが法律化されたことも有り、それも難しくなるかもしれないと言われています。

改正労働契約法㊾ 無期雇用へ転換進むか 「2年ルール」韓国では、1割が正社員、3割は無期に [改正労働契約法]@高井経営労務事務所  高井 利哉

3月2日の朝日新聞に、「無期雇用への転換進むか」と題した記事が掲載されています。改正労働契約法が施行されると、通算での有期雇用期間が5年を超えると無期転換への申込権が発生します。記事が指摘しているのは、企業が無期転換を避けるために、5年直前になって雇止めをするケースが続発するのではないかという点です。



韓国の例も上げているのですが、日本とはルールも違い参考になるかどうか。

5年を超える前に雇止めすれば問題ないという勘違い<改正労働契約法>@人事労務コンサルタントmayamaの視点

例え上限5年に達していなくとも、無期雇用と判断される可能性も雇止めを無効とされる可能性も十分にあるのであり、5年を超えたら「可能性」どころでなく問答無用で無期転換を強制されるということなのです。

しかも今回の改正では、合理的な理由がなければ雇い止めはできないとする「雇止め法理」が明文化されています。これまで裁判で示されていた雇止め法理が法律に明文化されることによって、これまで以上に雇止め時の正当な理由が重要になると考えられます。



こういう意見もあるわけです。

ひとつ言えるのは、この問題を取り上げているブログやネットニュースを見る際に、いわゆる識者とかではなく、労務のこういう現場の声を見たほうがよいと思います。
なぜかというと、法律というのは出来ただけでは半分で、現場での運用で方向性が決まっていくという点があるからなのです。
一般法であれば、判例を見ないとわからないように、税法や労務法は、税理士や労務士の現場での運用が物を言う場合も多く、どういった基準で運用されるかを見て行かないとわからない点もあります。

なので、こうした労務事務所や人事コンサルタントのサイトは参考になると思います。

そして(ここからが本題ですが)実はこの労働法改正で注目なのは任期雇用の多い「大学/研究所」ではないかと言われています。

改正労働契約法「5年で無期」が大学教育に及ぼす影響 --- 太田 哲郎@アゴラ

大学教員、研究者は、授業やプロジェクトなどのために雇用されている有期雇用労働者が数多く存在する。当然のことながら彼等全員を無期雇用することなど大学にはできない。

そのため大学側は、非常勤が無期転換権を得る前に雇止めをしようと考えているが、そうすると大学は毎年カリキュラムの変更を迫られることとなるため頭を抱えている。研究者の側から見ても、成果を出す前に雇止めされてしまう可能性があり、雇用がより不安定になる恐れがある。院生のときからTA、RAとして雇用された場合、5年はすぐに訪れる。また、科研費などで購入した物は大学の所属となるので、雇止めされるとそれらを置いて出て行かねばならなくなる。



このコラムは、色々問題がありますが、一般

でも、先ほどの人事コンサルタントのように「合理性のある雇い止め」かどうか、という視点で見るとどうなるでしょうか?

大学の研究者が見るべきサイトとして「RESEARCHMAP」があるかと思いますが、この問題を取り上げています。

I 改正労働契約法は大学にどう影響を与えるか?@大学や研究を取り巻く今聞きたいこと第1回

大学の研究職は、一般に人材が流動的であり、むしろ保証がないのが当たり前だと考えられている職種のひとつだと言われます。しかし労働環境や社会の変化により、最近では大学職員が裁判で「雇止め」の無効を争うケースも出てきました。次年度が始まる2013年4月1日は改正労働契約法の施行日にあたり、その日にスタートする多くの有期雇用契約がみな対象となります。大学や研究機関が人材を採用する際、どのような点に注意したらいいのか?──いくつかのケースに沿って見ていきましょう。



Q5:期限付き研究プロジェクトで雇用した特任研究員や研究支援員は、プロジェクト終了後も大学が無期雇用しなければなりませんか?

大学の研究室などでは、雇用の面でもやはりかなりの部分が、これまで人間関係で成立してきたと思われます。まず押さえておくべきなのは、改正労働契約法で定める「同一の使用者」とは、研究室単位ではなく労働契約締結の法律上の主体、すなわち大学や研究所といった法人単位であるということです。ある研究室で3年のプロジェクトに関わった後、大学内の別の研究室に誘われてまた3年間働くといったケースは比較的多いかと思いますが、雇用契約したのが同一の法人であれば、1回更新が入って5年を超えるので無期転換権が発生します。

研究室単位で見れば、たとえば科研費などの研究期間が終了したのでお金がないといった場合でも、母体である法人にリストラしなければならない客観的な事情があるのか、またその人が従事できる他の仕事がまったくないのか、またそれをやってみたのかといったことが一つ一つ問題になってきます。単に研究室にお金がないというだけでは解雇できないでしょう。




こういうQ&Aが展開されているので、興味が有る方は見ていただくと良いと思います。

ただ、全体には、研究者は報われそうにもありません。
TA、RA、ポスドクなど、職種が変わったり、大学が変わったりすることが多い研究職は一般の雇用とは状況が異なります。
ポストを点々としている場合には、やはり通算にはならないからです。
更に非常勤講師は雇用契約か、という問題にも触れています。

法律家のような専門家でもわかりにくいのは、4月1日から5年後に雇い止めが出るかどうかわかりにくいという問題があるからです。5年後、6年後にどういう状況になっているかが読みにくい、つまり判断は法律の条文だけではできないからです。

そこで、おもしろブログを見つけました。

改正労働契約法で国立大学の非正規雇用はどう変わるか?(「教育・研究系非常勤職員」編)@国立大学職員日記

今回のエントリーは「改正労働契約法で国立大学の非正規雇用はどう変わるか?」と題した記事の「教育・研究系非常勤職員」編です。「非常勤職員」と「教育・研究系非常勤職員」の区別や、改正労働契約法の基本的な解説などは前回の「非常勤職員」編のエントリーで説明していますので、できればそちらをご覧になってから本エントリーにお進みください。
 また「教育・研究系非常勤職員」の有期雇用については前提となる「任期法」と呼ばれる法律の理解が欠かせず、少し前置きが長くなっています。任期法の内容を知っている方は抜かして読んでも問題ありませんが、詳しく知らない方は知っておいて損はしませんので、任期法の内容を確認後に読み進めいただけましたら幸いです。



どういう方が書いているのかわかりませんが、実に詳しく書いてあります。
しかも、例を図示してあるのでわかりやすい。
私が色々書くよりも、これを見ていただくのが一番です。

たとえば、こんな図。
d9bc1048d6fb56cd6fe5297bbc3571c9.png

本当、この人どういう人なんだろう。
そっちが気になるわ。

いずれにしても、この4月からの新規契約への適用なので、お間違えなく。
amazon
楽天市場
Yahoo!
楽天
FACEBOOK
RSSフィード
add
プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

リンク
検索結果
カスタム検索
Twitter
ブログ全記事表示

全ての記事を表示する

カテゴリー
月別アーカイブ