土曜日に高円寺まで行ってみてきました。

(夜だから写真がなんだかわかりませんね)
場所は
座・高円寺。実は入るのは初めてです。
Unit Blueju第5回公演「甲斐のくのいち ~もう一つの風林火山~」

作・演出の
広光美絵さんとの縁で、旗揚げからずっと見てることは、
長年のブログ読者(いればだけど)にはお分かりでしょう。
今回タイトルを見た時に、なんで「甲斐」で、なんで「くのいち」なんだ?
と思ったのですが、事前の宣伝で明らかにされてました。
Unit Blueju第5回公演「甲斐のくのいち ~もう一つの風林火山~」 過去公演ダイジェスト動画到着!@ゲキぴあ私は三重出身でして、今回はどうしても地元の話を書きたかったんです。
三重といえば赤福、伊勢神宮、そして忍者。
忍者って格好いいじゃないですが。しかし
「くのいち」とヤホーやYOU TUBEなどへ入力すると必ずえっちな作品や映画ばかり出てくるんです。
いやいや、くのいち別にえっちじゃないから。
くのいち必死に生きてたから。
そんな想いがぶつかり、今回はこの脚本を書きました。
といいつつ、物語が起きる場所は伊賀ではなくて甲斐 だったりしますが。
なんか戦国だと武田信玄がカッコいいからなのでしょうね。
で、あらすじは以下のとおり。
<あらすじ>
永禄六年、甲斐では武田信玄が猛威をふるう時代。
窃盗や殺人の罪をおかしてきた底辺の女達が、
猛特訓を経て一流の「くのいち」部隊として結成された。
ただひたすら信玄を信じ、敵方へと攻めていく「くのいち」達。
しかし、運命の歯車は狂いだし、武田側から追われる事となった彼女たちの最期の運命は?
Unit Blueju初の殺陣を取り入れ、歌やピアノの生演奏を交えた新感覚ミュージカル。
今、華麗に切ない戦国の世の幕があける―――!
土日二日間で4公演だけだったのは、予算の都合なのか、集客に自信がなかったのか。
でも、4ステージとも満員だったそうで何よりです。
私は土曜のソワレに行って来ました。
いつも美絵ちゃんにメールで席をお願いするのですが、今回は、折角なので
Facebookのイベントページで書き込んでおきました。
ブルージュは、SNSやネット配信をうまく宣伝に使っていまして、ブログの他に
フェイスブックページも持っています。
そういうところが現代的というか、今風で、さすがだなと思います。
お気づきかと思いますが、芝居の感想がなかなか出てきません。
実は、私、今回の芝居について書けません。
タイトル通り、さっぱりわからなかったんです。
第1回公演:
ごった煮の楽しさ:【観劇】behind the stage第2回公演:
楽しいとは思うけど:【観劇】監獄彼女第3回公演:
役不足なの?力不足なの?:【観劇】似非紳士第4回公演:【
観劇】龍馬っておいしい:龍馬を殺した女たち:2012年1月13日(転載)これまでも褒めては来なかったんですが、やろうとする意図は感じながら見てきたつもりです。
前回公演では、「良かった」とも言ってますし、ブログでも広光の腕が上がったかは次回作次第と書いてました。
それを踏まえて言うと、台本書きとしての腕は上がっていると思います。
観客を飽きさせない展開で話を最後まで持っていく力はあるし、
演出も、空間の高いのを利用して二階建てにしたところとか工夫している。
役者も、殺陣に歌に踊りを舞台上で披露できる基礎能力の高さは相変わらずで、
力量を引き出すあて書きぶりと当て演出ぶりがわかります。
でも、なんで今、この内容で、この題材で芝居をやるのかがわからない。
そう考えてしまうのは、先日、
バーナード・ショーなんか見たからかもしれません。
くのいちの仕事ぶりを描くならば、そこに題材を絞って欲しいし、
武田信玄を出すならば、歴史的な事実を下書きやモチーフにして、嘘をまぶして欲しい。
前回の竜馬は、その辺の嘘と史実がないまぜになっていてよかったんですが、
今回の信玄は、別に信玄じゃなくても、ローマ皇帝でも平安貴族でも
「無辜の民を使い捨てる権力者」であればどの時代でも誰でもよかったんじゃないでしょうか。
なぜ武田信玄なのかがわからない。
これ、パラレルワールド的に空想の時代と国を設定して、
「女性だけの特殊部隊」を出現させても同じ事は出来たような気がします。
武田信玄のもとにいるくのいち、という設定が、それでなければいけない理由がわからない。
最後、解散どころか使い捨てで抹殺される611部隊(なぜ「くのいち」が611部隊なのかもわからない「911」の方が良くない?)が、武田信玄を殺しちゃうんですが、その落ちもわからない。
影武者を建てるという説明が、テロップで出てましたが、その演出も含めて映像の多用は好みではないので、そこもわからないし、エンディングの歌での締めもわからない。
私は、踊りで締めるのかなと思ってました。
もう私自身はおじさんなので、若い人がやることがわからないのかもしれませんが、
(そう思うので、あまり小劇場の芝居を見ないことにしてますけどね)
いやあ、わからんなあ、というのが素直な感想。
芝居が時代性を持たなきゃとか、主張や意義を持たなきゃというのが勝手な言い分で、
2時間ならば2時間という限られた時間を幸せにしてくれるものであればいい、
という芝居感もあることはしっています。
でも、一つぐらいは持って帰りたくなるようなセリフがあるとか、
ちょっと劇場から出た時に真似したくなるステップがあるとか、
見終わった時に、誰かに話したくなるようなシーンがあるとか、
何だかわからないけど、お母さんに電話しようと思ってしまうとか、
芝居って、心や体が動かされるものであるといいなと思うのです。
主演の彩貴の身体能力の高さ、踊りの素晴らしさは分かりますし、
女優陣は個々の力量もあって、殺陣にも迫力があって、
音楽も素敵でピアノとパーカッションの生演奏がついていて、
本当にやりたいことをやっているのはわかる。
でも、全力で理解できるかと言われれば、わからなかったとしか言えない。
たぶんアンケートに「元気をもらいました」という感想を書く人が多そうな気がする。
でも、生きる力になったかと言われれば、どうだろう。
とにかく(前回も書いたけど)おお、これは素晴らしいというセリフがほしい。
時代を超えて社会状況を映し出すような、
人間の本性の裏側に隠れていた矛盾をえぐるような、
思わず赤面するくらいむき出しの心を露わにしたような、
気がついたらば涙が流れるくらいに心を穿つような、
そういう台詞を広光さんに書いて欲しい。
あと、彩貴の設定が、無愛想で乱暴だけど、心の綺麗な嘘の付けない女性で、
優しい男の心奪い、愛を与えられる役なのはもうやめたらどうだろう。
違う彼女も見てみたい。
貴美佳のセクシー系はありだと思うけど、今回は中途半端だった。
もっとエロくすればそれはうまくやると思うけどなあ。
もう一つ注文すると、当日配るパンフ(今回はA4の紙だったけど)に
役者の名前と顔写真を乗せるならば、役名も書いて欲しい。
誰がどの役をやっているのかがわからない(メイクすると顔なんて変わるし)
それはもったいないと思うんだけどな。
色々書きましたが、個人的になってしまうのはいけませんね。
舞台の構成台本を書くの上手になったし、展開はうまくなったので、
やっぱり作家さんにはセリフで泣かせて欲しいと思うのでした。