先週の土日は、日がな一日、
日本科学未来館におりました。
サイエンスアゴラ2012に、
横串フィールドを出店していたからであります。
横串フィールドは、
サイエンスコミュニケーションネットワーク横串会の年に一度のリアル活動のようなもので、ネットでの
横串フィールド.ネットと、リアルの出展を連動させています。
リアルな場では、主に、会員の活動報告としてポスターを張り、ネットのほうでは、会員のサイエンスアゴラ関連企画の宣伝や、ネットでのサイエンスアゴラ情報の収集(Twitterとか、ブログとか)、当日のレポートなどを掲載しています。
今年で5年目になりますが、ネットとの連動を打ち出したのは当初からで、流行り始めたばかりのTwitterを入れ込んだり、当日のつぶやきをリアルタイム検索で入れ込んだりしてきました。
その情報については、本部にフィードバックしてきたので、最近は、ハッシュタグを自分たちから言い出したり、発信にSNSを取り入れたりしているようです。
さらに、過去にお弁当問題などで意見を突きつけてきた私たちですが、ついに、会員の中から
自前でランチカーを呼んじゃう人まで現れ、実は、横串会会員はサイエンスアゴラをいろんな形で支えたり、動かしたりしてきたのです。
サイエンスアゴラについては毎年まとめてきました。
2009年:
サイエンスアゴラ雑感2010年:
サイエンスアゴラ2010終わりました2011年:
サイエンスアゴラ2011に出展した感想毎年のように場所が変わるので、変遷を見る思いがしますが、今年は初めて日本科学未来館の1階という主要会場になりました。しかも、出入り口の直ぐ側で人通りも感じやすい場所でした。
それだけに、いままでのサブ会場から眺める感じとは違った感覚があります。
どまんなかにいながら、周りで動いているものが見えた感じ。
ここ数年の流れというか、変化が見えたようにも思います。
今年のテーマは「見つけよう あなたと「科学」のおつきあい」でした。
去年は震災を反映し、「新たな科学の種をまこうー震災からの再生を目指して」でした。
一年経って、震災からの復興が遅々として進まず、科学コミュニケーションについての反省も多い中で、もう「次へ進んでいる」感じが否めないテーマと言えます。
サイエンスアゴラも今年で7回目。横串フィールドは5回目。私は2年目に見に行ってますからこの6年を見ていることになります。
今年のサイエンスアゴラの
「これまでの歩み」に書いてある「サブコピー」は、きっとサイエンスアゴラ事務局の「まとめ」なのでしょう。
第1回 サイエンスアゴラ2006 テーマ:科学と社会をつなぐ広場をつくる
2006年11月25日(土)~27日(月) 科学コミュニケーターの結集
第2回 サイエンスアゴラ2007 テーマ:みんなでつなごう未来のスイッチ
2007年11月23日(金祝)~25日(日)科学コミュニケーション関心層の拡大
第3回 サイエンスアゴラ2008 テーマ:地球の未来 日本からの提案
2008年11月22日(土)~24日(月祝) 多様性の拡大
第4回 サイエンスアゴラ2009 テーマ:地球の未来 日本からの提案Ⅱ
2009年10月31日(土)~11月3日(火祝)メッセージの発信
第5回 サイエンスアゴラ2010 テーマ:未来へつなぐ科学のひろば
2010年11月19日(金)~21日(日) 新たなセクターの呼び込み
第6回 サイエンスアゴラ2011テーマ: 新たな科学のタネをまこう—震災からの再生をめざして
2011年11月18日(金)~20日(日) 多様な参加者による創発の場づくり
このサブコピーに、事務局の思いというか意図が見えて面白いですね。
1回目はとりあえず始めたので知り合いに声をかけて、
2回目は思いがけず継続したから、もう少し周りの人も集めて、
3回目は中心人物も変わって、少し大きなことを言い出して
4回目はさらに仲間内だけじゃなくて発信しようよと言い出して
5回目は民間企業や研究所の情報発信の場にも使ってもらうようになって
6回目は震災を受けて、少し考えることもありますという感じで
7回目は、さらに中心人物が変わって、主催者も変わって変化した
ということが読み取れませんか?
去年のわたしのブログでも
サイエンスコミュニケータの内輪のお祭りから、
サイエンスコミュニケーションを発揮する外向きの場へと
今年は大きくチェンジしたように感じました。
と言っていますが、今年はさらに、その感じを強くしました。
そして、それは、同様にすでにサイトには書いてあることなのですね。
2011の
「もう少し深く知りたい方へ」サイエンスアゴラは、科学コミュニケーションを考え、実践し、そしてつながる「ひろば」です。
科学コミュニケーションの専門家のみならず、すべての方々に開かれる「ひろば」です。
多様な個人・団体による多彩な企画、そして自由な参加と対話、
サイエンスアゴラでは伝え手・受け手がダイナミックに入れ替わります。
その場を共有するひとりひとり、すべての人が主役となって、
広い意味での科学技術、立法・行政に関してあらゆる立場の人が
コミュニケーションを深める活動すべてを包含します。
JST主催のサイエンスアゴラ2011は、ポスト第3期科学技術基本計画を見据え、
「政策への国民参画の促進」をより強く意識します。具体的には特に、
科学技術への信頼を回復し、よりよい社会創成のための方策を考える場
関心度の高低にかかわらず、科学との付き合い方・活用の仕方を改めて意識する場
科学コミュニケーションを社会に浸透させる起爆剤
研究者の顔が見える場
となることを目指し、企画を出展される皆さまとともに「ひろば」をつくりあげていきます。
2012の
「もう少し深く知りたい方へ」サイエンスアゴラは、科学コミュニケーションを考え、実践し、そしてつながる「ひろば」です。
科学コミュニケーションの専門家のみならず、すべての方々に開かれる「ひろば」です。
科学コミュニケーションの理念は、科学技術をめぐる様々な問題を、科学技術の専門家集団だけでなく、社会全体の問題として多様な人たちが議論し合うことにあります。ただし具体的な実践方法については様々な工夫の余地が残されています。サイエンスの楽しさに触れてもらい、関心層の拡大を図る取り組みから、科学技術政策について論じ合うことまで、サイエンスアゴラは、科学コミュニケーションを行うための「ひろば(アゴラ)」です。
多様な個人・団体による多彩な企画、そして自由な参加と対話。サイエンスアゴラでは伝え手・受け手がダイナミックに入れ替わります。その場を共有するひとりひとり、すべての人が主役となって、広い意味での科学技術、立法・行政に関してあらゆる立場の人がコミュニケーションを深める活動すべてを包含します。こうした自由な意見交換の場を設けることで、多様な層の間でのコミュニケーションを促進すると同時に、科学技術がより身近な文化となることを目指しています。
サイエンスアゴラ2012は、引き続き「科学コミュニケーションの核」であり続けます。政策的な背景としては、第4期科学技術基本計画が掲げる「社会とともに創り進める政策の展開」を意識する中で、来場者・出展者ひいては広く国民が科学技術リテラシーを共有する機会に加え、科学技術と社会との関係を考える機会をより一層充実して提供していきます。
これに参考として、第4期科学技術基本計画の中の関連箇所が記載されています。
参考:第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定)
V. 社会とともに創り進める政策の展開
2. 社会と科学技術イノベーションとの関係深化
(2) 科学技術コミュニケーション活動の推進
科学技術イノベーション政策を国民の理解と信頼と支持の下に進めていくには、研究開発活動や期待される成果、さらには科学技術の現状と可能性、その潜在的リスク等について、国民と政府、研究機関、研究者との間で認識を共有することができるよう、双方向のコミュニケーション活動等をより一層積極的に推進していくことが重要である。 このため、研究者による科学技術コミュニケーション活動、科学館や博物館における様々な科学技術に関連する活動等をこれまで以上に積極的に推進する。また、これにより、科学技術に関する知識を適切に捉え、柔軟に活用できるよう、国民の科学技術リテラシーの向上を図る。
アゴラが、「みんなと作る場」から「行うための場」になったことが、読み比べるとわかります。
一緒に考える企画委員というのが
2011にはありますが、2012にはありません。
主催する独立行政法人科学技術振興機構(JST)の
関連ウェブサイト という文字が大きくなったのは、主催者としての自覚が大きくなったからでしょうか。
当然これは、JSTの組織改定で
「科学コミュニケーションセンター」という組織ができ、その活動の一つとして
サイエンスアゴラを打ち出していることと無関係ではないでしょう。
つまりサイエンスアゴラは、なんだかわからないイベントではなく、JSTの科学コミュニケーションセンターの主催イベントとして位置づけられたわけです。
もちろん今までもJSTの主催イベントですが、科学技術コミュニケーション連携推進事業の一つであり、JSTとしては階層の深い、主要ではない事業であったことは間違いないわけで、予算と担当者はいても、それほど目を配られては居なかった感があります(北澤前理事長は気にしてくださってましたが、組織としては鬼っ子でした)。
しかし、毛利センター長の直轄事業として、日本科学未来館を使った一大イベントとしての位置づけができ、予算が増えたようには見えませんが、JSTの主力事業となった感じがしました。
そういう変化が、中身にも運営にもプンプンと臭っていましたし、会場の空気がなんだか硬いように思われました。
勝手連的な盛り上がりとか面白みにかけるというか、悪ふざけが足りないというか、肩肘張った感があるというか、大変感覚的でしかも、全然実態を伴わない話しなのですが、そういうカンジがするのです。
それは肌で感じるものなので、偏見と言われるかもしれませんが、そう思ったものは仕方がない(開き直った)
すでに多くの方がFacebookやらTwitterやら、ブログやらで、そうした変化への違和感をお書きになっています。
また、それは、良い変化なのではないかという意見も聞こえてきます。
そして、私は、これは必然の変化で、サイエンスアゴラというイベントの発展的進化にとっては良かったのではないかと思っています。
ただ、もう、あの第1回、第2回にあったような「ごった煮感」には戻れない、ということです。
でもそれは、勝手なノスタルジーかもしれない。
そうなんですけど、それは私には魅力的な場ではないように思うのです。
先程も書いたようにサイエンスアゴラは、みんなでより合って何かを作る場ではなく、行う場になりました。
サイエンス・コミュニケーションについて、もやもやと考える場ではなく、普段のサイエンス・コミュニケーションについての成果を発表する場、団体や企業や大学や組織がサイエンス・コミュニケーションを行う場になったのです。
それはひとつの変化ですが、ひとつの純化でもあります。
サイエンス・コミュニケーションについて考える場は、研究の場としては
STS学会とかになるかもしれないし、
科学コミュニケーション研究会とか、そういう学究的な場になるのかもしれない。
じゃ、街なかで活動している市井のサイエンスコミュニケーション実践家は、普通の市民はどうすればいいのか。
それは、実は、サイエンスコミュニケーションネットワーク横串会の次のテーマなのかもしれないとは思っています。