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政府事故調中間報告概要を読んで考えたこと(その2)

関連エントリ:政府事故調中間報告概要を読んで考えたこと(その1)

東電の報告書と比べて読もうと思ったけど、東電は概要が無いので面倒くさいな。

東電に関して言えば、「後出しジャンケン」だとする彼らに、
いかに「違う」と言えるかなのだけど、
東電上層部は頭を下げたことがない人達ばかりなので、
まず「自分たちの非」を認めないだろうと思われる。

あくまで「事前の想定」が政府や保安院の「許可」と「合意」のもとになされており
その「想定を超えた事態」で起きたことに責任を取ることはできない、という論理だろう。

当然、その「想定」こそが問題である。

あらゆる外的状況を自分たちの都合の良いように過小(時には過大)評価して、
歪曲化された条件設定の中で作られた「想定」こそが、
自己肯定したいという狭量で傲慢な欲求に基づいた彼らの拠り所だからだ。

しかし、すべての原因がその「想定」であり、この原発事故は
その想定を設定した人間、組織が招いた「人災」なのだ。

しかも、その想定は何度も変更する余地がありながら、
「安きに流れ」(易きに流れたのではなく、安価な方向に流れた)
変更しなかったのは、清水社長の統治下だったといえる。

彼が東電の購買で購入原価を下げ、利益をもたらしたことを評価され
社長になったことを知らないものはいない。
原発もまた、彼にとっては原価のかからない方向に改善すべきものでしかなかったのだろう。
金の掛かりそうな「想定」はすべて排除されてきた。

そして、その東電の想定を見過ごし、指導して来なかった保安院は、
さらに人災の大元締めだ。
まったく能力のない人達が、判断し、指導する側につくことが、それだけ危険なことか。
私たちは、今回の災害で知ることになった。

優秀な人材が、重要なポジションに付く重要性を知った。

そして、この災害にとって不幸だったのは、
東電にも、保安院にも、政府にも
そうした人材が就いていなかったことだろう。

人材がいなかったわけではないと思うが、就いていなかった。

東電で言えば、柏崎刈羽での事故隠しなどで、
原子力畑の発言力が弱まり、上層部に直言できる原子力の専門家を欠いていた。
(あ、ここは報告書の中に出てくるのではなく、私の意見です)

保安院は、何だかよく分からないとしか言えない。
出てくる人、出てくる人、経産省の中でも出世コースとは言えない感じ。
東大の原子力で優秀な人は東電に行き、
研究者としても残れなかった人で役人になった人が行くところなのか?

最後に、問題だったのは政府、特に官邸だろう。
まあ、言ってしまえば菅直人首相だ。

報告書の概要の3 事故発生後の政府書記官の対応の問題点のなかで
(3)残された課題 として
>原子力災害が発生した場合に、迅速かつ的確に事態に対応するため、原子力災害対策特別措置法や政府の原子力災害対策マニュアル等が整備されている。


ところが事故発生時から官邸は、一貫してマニュアル等に定めのない行動ばかりをとっている。
・官邸地下の危機管理センターを使わず5階に関係閣僚等を集めた
・危機管理センターに詰めた各省庁代表の緊急参集チームとのコミュニケーション不全
・マニュアル等に定めのない福島原子力発電所事故対策統合本部の設置
・SPEEDIの不活用
・経済産業省緊急時対応センター(ERC)の不活用
などなど、官邸が東電に直接の状況報告を求めたために、
本来、原子力災害に対応するために利用されるはずの機関が使われないまま
情報の経路不全が続くことになった。

この件については、私もこのブログで指摘してきた。

関連エントリ:平時に準備しておかないと泥縄になる
>今回の震災及び原発事故に関して言えば、それは準備してなかったからですね。
でも、長い自民党政権時代に官僚の人たちは、営々と準備してきたはずなんですよ。

大震災が起きたときに初動はどうするかとか、原発で事故が起きたときにはこうするとか。

菅政権は、その平時に官僚の皆さんが自民党と協議して決めたことを「守らない」ことを決めたかのようです。


まさにそのとおりの状況で、やはり、この「泥縄」と言うか
独自の解決策にこだわった官邸の対応が、
初動の遅れにつながったことは間違いないでしょう。

原子力発電所がどうして事故を起こしたのか。
原因は地震なのか、津波なのか。
この初期段階については、もう少し現場に入れるようにならないとわからないだろうけど、
その事故がどうして次の段階、
炉心溶融にまで行き着いたのか、水素爆発を起こしたのか、
このフェーズでは、人災だといって良いのではないでしょうか。

それも、東電だけではなく、官邸との合作による人災だと。
さらに、そこに至る「想定」の作成には、保安院が大きく関係している。
いわば未必の故意として、抜け穴だらけの対応をしてきた罪がある。

関連エントリ:想定内とか想定外とか言うけど「想定」は想定者の器による

子の4月6日に書いたエントリで疑ったとおり、
「想定」そのものが間違っていたのです。

その辺が、中間報告で浮かび上がっているだけでも、
この政府事故調の中間報告は価値があると思います。


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政府事故調中間報告概要を読んで考えたこと(その1)

赤線引き引き読みました。

概要読んで、気になったところは、本文も読んでみて。
本体だけで500ページ超の報告書なんて、いきなり読めません。

関連エントリ:政府事故調の中間報告は概要だけでも読んで意見を寄せよう

でも書きましたけど、概要だけでも読んで自分なりの意見をもつのが日本国民としての勤めのような気がします。

前提として考えておいて欲しいのは、
報告書というのは制作する人たちの立場が背景にあって、
常にポジショントークなわけです。

誰に対する「報告」なのか、
そして発注者から「何を」報告するよう求められているのか。
この二点を踏まえないと報告書になりません。

では、この政府事故調の報告書は「誰宛」で、「何を」報告するように求められているのか。

はじめに>1設置目的 にあるように、
>被害の拡大防止及び同種事故の再発防止等に関する政策提言を行うことを目的

>従来の原子力行政から独立した立場で、技術的な問題のみならず制度的な問題も含めた包括的な検討を行うことを任務


としている。
つまり、「原子力事故防止の政策提言」になるような「包括的な検討」で、
そのために8つの方針があるわけです。
① 畑村の考え方で進める。
② 子孫のことを考え、100 年後の評価に耐えられるものにする。
③ 国民が持っている疑問に答える(納得性)。
④ 世界の人々が持っている疑問に答える。
⑤ 責任追及は目的としない。
⑥ 起こった事故の事象そのものを正しく捉える。
⑦ 起こった事象の背景を把握する。
⑧ 再現実験と動態保存が必要である。

わかりにくいですが、畑村先生が国民の目線でみんなを代表して聞いてきます!
と書いてあるわけですな。
その上で「個人の責任追及」は目的としていない。

あくまで、なんで失敗したかを捉えて、次に失敗しないようにという「失敗学」に基づいています。

その辺を押さえた上で読んでいきます。
で、そのときに、東電の事故報告書(pdf)と比べるといいと思いますね。

12月2日に発表されて、酷評された報告書です。

なぜかというと、東電は、政府事故調の報告書に異を唱えているからです。

東電:「事実一部異なる」 政府事故調の中間報告に反論@毎日JP
>東京電力福島第1原発事故で、政府の事故調査・検証委員会の中間報告に対し東電は27日、事実認定が一部異なるなどと反論した。

東電は、基本的に「全ては津波のせい」だという立場ですから、
松本純一原子力・立地本部長代理がいうように
>「3月11日以前に想定した過酷事故については、自主的に対策に取り組んでいる。国や(内閣府)原子力安全委員会も不十分と言わなかった」

で、ここで重要なのは「言われたことはやってました」「国だって言わなかったじゃん」という点です。

東電の態度は、この立場に徹底してます。
規制業種なんだから、自分たちの判断なんてなかったんだよ、というグレた息子の立場です。

そうした東電上層部の態度は、この政府事故調の報告書でも指摘されています。

私は、この報告書を読んで、東電がこういう態度に出るだろうことを予測していました。
(私だけじゃないでしょうけどね)

すべてを「後出しジャンケン」だと言いつのるだろうと。

長くなるので、その2に続きます。

政府事故調の中間報告は概要だけでも読んで意見を寄せよう

12月26日に政府の事故調査・検証委員会が中間報告を発表した。

すでに、ニュースでもずいぶん取り上げられているし、
昨日はNHKでも報告に基づいたNスペ番組をやっていた。
>「絶対安全」をうたいながら、世界最悪レベルの放射能汚染を引き起こし、今なお多くの人々に避難生活を強いている福島第一原発事故。その原因と背景を半年以上にわたって探ってきた政府の事故調査・検証委員会が、12月26日中間報告を発表した。現地調査や数百人へのヒヤリングなどをもとにした全700ページ以上にわたる報告では、様々な問題点や疑問点の多くに関して、政府事故調としての調査結果と見解を示しているが、特に東京電力や政府機関の事後の対応について多くの問題点を指摘するなど、踏み込んだ内容になっている。NHKスペシャルでは、事故調委員長の畑村洋太郎氏と、委員の柳田邦男氏を急遽スタジオに迎え、事故調中間報告は一体何を明らかにし、国民の疑問にどこまで答えるものになっているのかを検証してゆく。

これ少しだけ見たけど、本文を読むほうが面白かったな。

で、報告書に対する批判もすでにあちこちで出ている。
代表的なのは、この人だろう。

小出裕章が語る、政府事故調査委員会中間報告「個人の責任を問わないで済むなんてことが私にとっては想像もできない」12/26

テレビの書き起こしらしいけど、偉いねネット住人は。
こういう労力を惜しまない仕事を、新聞も雑誌もしてない気がする。

この中で私が注目したのは、畑村洋太郎先生が委員長であることを指摘し
>小出「まあそうですけど、ま、委員の方々がですね、テクニカルなことに関しては、今聴いていただいたように専門的知識をお持ちでないわけだし。結局ですから制度的にどうであって、連絡体制がどうであった、ま、そういうところしか……興味がなかったというか明らかにする力がなかったということだと思います」

と小出さんが言っている所で、この点が評価が大きく別れるところなのだろうと思う。

私は、この事故が仕組みの問題であることを丁寧に指摘している報告書だと感じた。
東電の中の原発組と本社の間の連絡不足、認識不足や、
経産省保安院の役立たずな部分、
今回の事故を混乱させた官邸の異常なまでの介入とマニュアルを守らなかった問題など
「事故そのもの」以外は、実によく解明していると思う。

そして、事故そのものを解明していないことを指摘するには、
その前提として、まだ放射線量が高すぎて炉心に近づけないという点を
どの程度勘案するかが重要ではないだろうか。

科学者の良いところであり、一般の人から見るとまだるこしいところは
「現場を見ないとなんとも言えない」というところで、
「破砕された状況そのもの」「溶融している状況そのもの」を見ないと
結論めいたことを言わないところだろうと思う。

そこは、この中間報告ではなく、最終報告に期待したい。

新聞記事としては毎日が連続して取り上げている

福島第1原発:東電ミス連鎖で深刻化 事故調中間報告書@毎日JP
>中間報告書は本編507ページと資料編212ページで構成。検証委のウェブ(http://icanps.go.jp/)で公表し、来年1月末まで意見を募集する。

東日本大震災:福島第1原発事故 東電ミス連鎖で深刻化 政府の機能、不全--政府事故調中間報告@毎日JP
>炉心溶融を防ぐための冷却装置への東電の対応に問題があったと認定し、「極めて遺憾」と指摘。政府の対策本部が機能不全に陥っていたことにも言及した。深刻な被害にいたった背景として、自然災害と原発事故の複合災害という視点がなく、政府や東電の備えの欠如があったと分析した。

福島第1原発:安全文化を軽視 事故調中間報告書@毎日JP
>安全文化とは、反省しながら、最新知見を取り入れ安全を常に求める姿勢をいう。だが東電の場合、08年に福島第1原発に15メートル超の津波が押し寄せる可能性を予測したが、コストのかかる防潮堤の設置などの対策を進めなかった。事故発生直後も「想定外の津波が原因」という言葉を口にしている。これに対し、26日、記者会見した畑村洋太郎委員長は「一度想定を決めると、想定外を考えなくなる」と指摘、被害の甚大さを考慮すれば確率が低くても想定外を無視しない大切さを説いている。

こうした記事からでも断片はわかるけど、やはりここは日本国民として
概要でいいから、全文読んでみたほうがいいと思う。
A4で16ページしか無いし、平易な言葉で書かれていて、
いわゆるガチガチの報告書調ではない。

概要(pdf)

そして、毎日新聞の社説(社説:原発事故調 最終に向け踏み込め)などでも言うように、
さらに踏み込んだ最終報告書を書いてもらうためにも意見を寄せてはどうだろうか。

HPによれば
>委員会の活動においては、国民の皆様の声を参考にさせていただきます。ご意見等は、次のメールアドレスまでお願いいたします。
E-Mail:iinkai.goiken@cas.go.jp


とのことなので、このメールアドレスに、感想やら、最終報告への期待を送るといいのではないか。
自分のサイトアドレスを送ってブログを読めとか言っても、多分やらないだろうから、
簡潔に意見を送ったほうがいいと思う。

そういう「市民活動」をしないで、上がったものだけを論っても仕方がない。
彼らは、善意でかなり良い仕事をしている。
そこは評価した上で、それでも斬り込み切れてないところを追求してはどうか。


そうは言っても、私は、毎日新聞社説が言うような
>米スペースシャトル「チャレンジャー」事故の調査委では物理学者ファインマンが組織の論理にとらわれない独自の見解を報告に付け、広く受け入れられた。そんなことも念頭に置いて検証を進めてほしい。

というような報告を実は、この政府事故調には期待していない。
なぜならば、政府自体がこの事件の犯人の一部だからだ。
東電の社内事故調同様に、政府事故調にはある甘さがあるに違いない。

だが、国会事故調が控えている。

東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法

という法律に基づいて国会に設置された機関で、
こちらはそうそうたる科学者を含め、強面がズラリと並んでいる。

wikipediaによる

委員長
黒川清(医学博士、東京大学名誉教授、元日本学術会議会長)
委員
石橋克彦(地震学者、神戸大学名誉教授)
大島賢三(独立行政法人国際協力機構顧問、元国際連合大使)
崎山比早子(医学博士、元放射線医学総合研究所主任研究官)
櫻井正史(弁護士、元名古屋高等検察庁検事長、元防衛省防衛監察監)
田中耕一(化学者、株式会社島津製作所フェロー)
田中三彦(科学ジャーナリスト)
野村修也(中央大学大学院法務研究科教授、弁護士)
蜂須賀禮子(福島県大熊町商工会会長)
横山禎徳(社会システム・デザイナー、東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム企画・推進責任者)

政府事故調(Wikipedia)と比べると、委員の人数が少ないが破壊力は国会事故調のほうが上だろう。

こちらでファインマンのような仕事を黒川先生にしていただきたいと切に願う。
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プロフィール

fujita244

Author:fujita244
2000年から新宿在住。
21世紀とともに新宿を闊歩。
高度成長期の一億総中流育ち
頭も身体もサイズM。
フツーのオッサンから見て
フツーじゃなさそうな話を
書いています。

2011年12月に
「若だんなの新宿通信」から
「フジタツヨシの新宿通信」
に変更しました。

2012年12月20日にはてなブログも始めました。
「fujita244's field」です。
2013年2月1日からゴルフ専用のブログもはじめてます。
「fujita244のゴルフBK」です。
2つのサブブログもよろしくお願いします。

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