ブログをやって良る人、ツイッターをやっている人は、この本は必読です。
この間のエントリ(
デザインマーケティングカフェに行ってきました)で、
>ワタシは、エピソードが「あるある」過ぎて、笑っちゃいました。
でも、中身は笑えませんぞ。
感想はまた別エントリ立てます。
ト書いていながらなかなかかけなかったわけですが、まだ1週間か。
この本は、「トーン・アンド・マナー」という、これまで専門家しか口にしなかった用語で、
「デザインとマーケディング」さらに「ブランディング」の要諦をわかりやすく書いた本。
広告代理店のクリエイティブのノウハウが「ダダ漏れ」しているような本です。
なぜかというと、「ポジショニング」と「トーン・アンド・マナー」というのが
代理店からクライアントへの「広告デザインのプレゼン」で一番わかりにくいところだから。
でも、これがないと、広告もデザインも統一感の無い身勝手なものになってしまう。
そこで、この部分をクライアントがわからなくても提案に入れるのが常なのですが、
「そんなことより、カンプ見せて」などと言われて焦って、いい加減にしたままにすると、
結局、クライアントの首尾一貫しないダメ出しに泣くことになるのです。
実は広告の世界も、デザインは「綺麗なものを作ること」ではなく、
「考え方を整理し、受け取りやすいように提示すること」に変わってきています。
その代表が佐藤可士和さんというアートディレクターです。
彼は、デザインは整理することだと考えていて、それで整理術の本を出しました。
綺麗なもので圧倒する時代から、なぜその形なのかを説明可能にする時代になっている。
その時に、説明する根っこになるものが「トーン・アンド・マナー」ということになります。
だから、プロダクションの下っ端の皆さんはこの本で「トーン・アンド・マナー」を学ぶと、
提案するデザインのレベルが上がること間違いなしですが、
そういうプロのデザイナーや制作者に向けては、実はこれまでも多くの専門書がありました。
この本が、類書と違うところは、その概念を広げて、表現したい個人に向けたこと。
>この本のゴールは、今、あなたの目の前にあるデザインが「あなたにとって正しいかどうか」ということを、あなた自身が自己診断できるようになり、これがデザインの正解に違いないという確信を持っていただくことにあります。「デザインに正解はない」というのが広告界に長年身をおいたワタシの確信ですが、
それは制作会社にとっての「正解」という意味で、
ブランディングやマーケティングをやるからには、「正解」はなくてはいけません。
多くの場合、その「正解」を探す方法を持っていないから、「ゴール」がわからなくなってしまう。
その方法が、いろいろな実例を伴って書いてある本だから、すごい。
これ書くの大変だったと思いますよ。
言語化されていない自分の中のノウハウを掘り起こす作業を
ウジさんは、きっと泣きながらやったはずです。
こうした言語化されていないノウハウは、これまで事務所で先輩について身につけるしかなかった。
なんとなくこうだな、とか、こういう時はこうするんだな、とか思いながらみにつけたものです。
それを、こうして見事に言語化したウジさんの努力とそれを支えた編集さんが素晴らしい。
そして、ウジさんのこれまでの本の流れの中で見て行くと、
オールドメディアである新聞や雑誌の広告に使われた手法(デザインに関する手法)を、
ソーシャルメディアに応用するためにどう使うかという時代の要請と沿っていることが見えてきます。
この本で、デザインを視覚マーケティングと言い換えることで、
ビジネスに関わる万人に必要なものであることを喚起し、
関連エントリ:
視覚デザインがビジネスになるんですってばこの本で、視覚マーケティングがブロガーに有効であり、
ブログという新しいメディアにもデザインが必要であることを実践して見せ、
関連エントリ:
「視覚マーケティング実践講座」は、ブロガーだけのものじゃない!そして、このトンマナ本で、セルフブランディング時代のデザインの重要性を明らかにした。
ソーシャルメディアに多くの人がかかわるようになったということは、
まさにパーソナルブランディングの時代がやってきたわけです。
その時「アイコン」とか「名刺」とか、何気ないツールが
すべてブランディングとして統一されている必要性が出てきたわけで、
自分の「トーンアンドマナー」をわきまえてツールを作る人が
自分メディアのブランディングに成功するという流れになるんですよ。
いわば、この本のデザイン版とも言えるでしょう。
「デザインの正解」とは、成りたい自分探しをしている人にとっても、
「人生の正解」に近づく道なのではないか。
ウジさんの本を読んで、そう思ったんです。
もくじは
bnnのページから。
長いけど、この細かい内容を見るだけでも、
この本の素晴らしさがお分かりいただけるかと思います。
本当、教科書ですよ。
目次:
Part1 売れるデザインのしくみを考える
1 もう、ハズレのデザインを作っている暇はない?!
検証! 間違った印象はこんなにダメージを与えてしまう
急げ! リ・ブランディング。ダメCIは、坂道を転げ落ちる ー機器メーカーのケース
豊富なデザイン知識→でも越えられない壁 ーコンサルタントのケース
「マーケティング」と「デザイン」の間に溝を作っていないか
気付かないうちに、時代の溝にはまっていないか ービューティーサロンのケース
成分のよさをどうやって視覚的にマーケティングするのか
女性ファンが多い人気サイトの共通点
最小コスト、最短時間で作る、最強のデザイン戦略とは?
思い切って過去を捨てよう! 悪癖発注&慣習が企業を蝕む
現状分析と未来想定から作るデザイン戦略
間違えられてはいけない対象は?
ポジショニングをきちんと取るということは?
情報化時代に適したデザインマーケティングの手法とは?
2 はずれないデザイン戦略を探せ!
デザイン戦略の「方位(direction)」を決める
マークよりトンマナが重要?
どっちを向いて歩く?
技術力をきちんと魅せる
高い専門性や能力を魅せる
センスを魅せる
デザイン戦略の「角度(reach)」を決める
ターゲットの角度とは? ターゲットの深さとは?
ターゲットを広く取る
ターゲットを深く、狭く取る
デザイン戦略の「クラス(class)」を決める
ものの価値を上げるマーケティングとは?
既存の商品よりも価格を上げる
既存のターゲットよりも、クラスアップした層を狙う
共感を呼び、多くの人を引き付ける
デイリー&カジュアルさの演出
廉価と価値の演出
デザイン戦略の「タイプ(type)」を決める
デザインのタイプとは?
センスよくというオーダー
品質・信頼重視というオーダー
企業価値重視というオーダー
ダーゲットの好む世界観に、デザインを寄せる
望まないターゲットを突き放す
モチベーションを上げる、心を揺さぶる
デザイン戦略の「テーマ(concept)」を決める
テーマ(concept)を決めるために
見えないものを魅せるための実践ワーク1(もの→ものへの置き換え)
見えないものを魅せるための実践ワーク2(もの→ことへの置き換え)
見えないものを魅せるための実践ワーク3(もの→音への置き換え)
見えないものを魅せるための実践ワーク4(もの→風景への置き換え)
見えないものを魅せるための実践ワーク5(もの→色と形への置き換え)
3 ポジショニングデザイン=トンマナ攻略のススメ
マーケティングの視点を持つ
席を取ってからコーヒーを買うのか、コーヒーを買ってから席を取るのか
会議&ビッグプロジェクト化で大きく間違う企業のパターン
なぜポジショニングデザインはぶれないのか
勝者の戦略? 弱者の戦略?
ファーストワンかオンリーワンか(ニッチでもブランドになれ!)
ブランド上級者はみんなトンマナ使い
トンマナで作れば、デザインはブランドマーケティング
Part2 売れるデザインのしくみを使う
1 使える、実践デザイン戦略
トーン・アンド・マナーの取扱説明書
テストマーケティングを必要としない、無意識に訴える視覚(心理)戦略
ポジショニング・マトリクスを作ってみよう
2 実践、トーン・アンド・マナー ートーン・アンド・マナーを使う
写真を使う
コーヒーカップは、何を語る?
ノーマルな写真って何? ノーマルでない写真って何?
見えにくいものを、しっかり魅せるためには?
誰のための写真? 何のための写真?
グラフィックを使う
写真から作った、グラフィックイメージ
図形や線から作ったグラフィックイメージ
タイポグラフィの可能性
グラデーションやブラシを使う
イラストやキャラクターを使う
ピクトグラム・アイコンを使う
イラストのトンマナ
キャラクターを作る前に確認しておきたい、四つのトンマナ
ツールやメディア展開が増えれば、印象は一層強くなる
テクスチャーを使う
テクスチャーとは?
クラス感を上げるテクスチャー
テクスチャーをブログスキンに利用する
コントラストを使う
コントラストとは?
コントラストで見えるもの
コントラストとレイアウトの切っても切れない関係
トンマナとフォルムの切っても切れない関係
ホワイトスペースを使う
ホワイトスペースの力とは?
ないがしろにされている? 日本のホワイトスペース
ホワイトスペースと空いているスペースの差はこうして生まれる
ホワイトスペースを上手く使うには?
フォントを使う
フォント選びは、恋人選び?
自分のイメージにぴったりのフォントってなんだろう
本命を決めることの大切さ
3 実践、トーン・アンド・マナー ーデザインの印象を守る
レギュレーションを守る
デザインのレギュレーションとは?
これからのデザイン戦略のために必要な、二つの大切なポイント
あなたの会社のデザインレギュレーションは大丈夫?
デザインのレギュレーションフォーマットを作ろう
リサイズ時の決まりと注意
どんな大きさで使っても同じ印象にする
どんな背景を使っても同じ印象にする
禁則を作る
レギュレーションフォーマットしやすいデザインを作るコツ
ツール展開・メディア展開時の決まりと注意
RGBとCMYKの印象を揃えるには?
ネットでも紙でも……印象の統一を
使えるフォーマット展開(レターヘッド、ファックスレポート、プレゼンシート、ブログスキン)
メディアニュートラル時代のデザインを考える
Appendix ポジショニングデザイン実践ワーク