7月に書いたエントリ
輸出のための輸出には意味が無い:農業にコメントをいただいたのですが、
なかなか示唆に富んでいるので、ご紹介がてらのエントリです。
このエントリは、日経ビジネスオンラインの記事
“リンゴ1個2000円”の虚実、輸出で農家は救われるか?
食料危機は最大の好機――今こそ作れ、儲かる農業(2)を読んで書いたもの。
その前に(
なぜ、日本の農政は、国内市場しか考えないのか?)を書いていたので、反応したわけですね。
青森県の
片山りんごさんの紹介記事でした。
私は、無邪気に、りんごを輸出する農家があるということに驚いて、喜んでいるわけです。
そこにコメントを書いてくださったbbさんは、
>非常に常識的な状況判断をされているとは思いますが、残念ながら推測の域を脱していないというか・・。 と切り込んでこられました。そして、片山りんごの例を評価していないということで、
>片山さんは物量勝負の低付加価値モデルで収益性が悪いというのは業界では当然の見方です。彼の手法では生産現場の疲弊は改善できない。 さらに、私が農協批判・政治化批判をしているので、
>農協・政党の責任にするのは農家の常套手段ですけども、直接的受益者としての農家が自分達で自己改革しないんですもの。農協・政党以前の問題ですよ。 と、農家の無策を指摘し、
>農業・農産物・一次産品という常識的な見方でやってるうちは何やっても収益性上がりませんから農業+化学 とか、農業+工業+サービスとか
その辺までやってはじめて改善が出来るわけで、生果を輸出した。ぐらいでは全然話にならないんですね。と提案されています。私は、そのコメントを見て、疑問を持ち、以下のコメントを返しました。
bbさんは、私のエントリを批判しているのか、何なのか、よくわからないのですが、どういう立場で語っていらっしゃるのでしょうか?
私は推測の域を出ません。実践している訳ではないので、感心した記事を紹介しただけです。ただ、農家の孫ですから、実体験といえばそこから発想しています。
で、あなたは、実践されている方なのですか? 話にならなくても実践している方を批判して、何をしてくれるんですか?するとその答えコメントが来ました。で、ここからは、そのコメントへの返事と感想と反論。
>文面読んでいただければわかるとは思いますが同地域の同業者です。報道は目新しさばかりを追いかけて地に足がついていない事が多く、上記の事例も実態は国内流通業者が輸出を始めた。というだけの話であって、それ以上のものは何も無い。という事を現場から指摘させていただいているわけですが。彼のビジネスモデルでは農業再生は図れないのです。これが現実。 なるほど。青森の農家ということでしょうか。
>何が言いたいかというと、報道は目に見える今の情報しか流通させない=古いという事ですね。
片山さんの手法は我々から言わせて頂ければ30年前のビジネスモデルなんです。今開発がされている高付加価値モデルは今よりも10年先を走っている。という事は報道は40年遅れの情報を最先端であるかのうよう流している訳です。 報道は、今ある情報しか流せません。
そうですね、そして現地にいない私は、その情報を見て、あーだコーダ言う。
鵜呑みにしてはいけないのですが、どうしても信じた上で書いてしまいますね。
その情報が、古かったらばどうするのか? しょうがないですね。
新しい情報があれば、それで直していくしかない。
でも、開発中のモデルがあっても、それが10年先かどうかは開発されてみないとわかりませんよね。
さらに言うと、10年先と言うのは、10年後に開発されると言うことでしょうか?
そんな先の話よりも、今起きていることのほうが、私には大事です。
>現場を知らない方はそれに惑わされる事になるのですが、何故か同業他社さんも同じように惑わされて片山さんの後を追いかけるんですね。
稲作なんかは典型的で、海外の生産を標的に合理化するとかいうとんでもない事を国中で始めちゃった。 先を見て開発することは重要ですが、やって見て直していくと言うやり方もあっていい。
起きていることを否定するのは、あまり得策ではないと私は思います。
ただ、同業他社が、追随するのはどうかといわれれば、話は別ですね。
そこには「付加価値」がないと成功しません。後追いを成功させるには「圧倒的」でないとダメです。
稲作の問題は、今起きている事故コメ問題を一度書こうと思っているので、そのときにします。
それとは別に、この、「海外生産を標的に」「合理化する」と言う言葉がいまひとつ理解できないのですが、生産の合理化で、海外生産の米と価格競争するということでしょうか?
海外で生産することを目的に、作業手順を合理化して、技術移転するということでしょうか?
>自分の足で様々な現場を見て、経験を元にチャレンジして失敗して、反省してそこから新たなチャレンジをするという事をやっていればそういう情報に惑わされる事は無い訳ですがそういう事をやる人はあまり居ない。 これは同感ですね。農業に限りません。どのビジネスでも一緒です。
>だから最近は報道を元にした常識的な思考が実は事実とかけ離れている。という事をよく目にします。
その乖離具合が実はビジネスチャンスな訳ですけれどもね。 これも同感です。情報落差は商売になります。報道の追随ではビジネスにはなりません。
だから、私が農業をビジネスにするならば、すでにある情報を集めて分析した上で、
別のビジネスと比較して、農業の中で落差のあるところを意識するでしょうね。
>りんごはもう次の段階の開発が終わりましたので今後面白くなると思いますよ。おお、面白そうです。どんなりんごなのでしょうか?
マーケットが見えている商品なのかなあ。
ちなみに、この分野に私が興味を持っているのは、
・農家の孫だから(母の実家が農家で、農協支配を身をもって体験した)
・農協の腐敗が気になるから(立花隆の本「
農協
」が出たころとなんら変わっていない)
・農水省の農産物輸出プロジェクトの仕事を少しかじったことがあるから
・ビジネスチャンスが来ていると思うから
などの理由によります。
現場の声は貴重ですからね。このコメントから学ぶことも多いです。
bbさんがブログを書いておられるならば、URLを教えていただきたいですね。
報道批判と、片山りんご批判が混在していて、理解しにくい所もあったので、
もう一段コメントをいただいて、じゃ農家はどうしたらよいのか?
ただ輸出するだけでもダメで、マーケットをにらんだ付加価値をつけるべきだ、というのは
もっともだと思いますので、その付加価値とは何かを教えていただきたいですね。
とにかく、農政をもっと自由化しないと、優秀な人材が集まり活性化しないのではないでしょうか?
食べ物は、エネルギー以上に重要なビジネスです。
そこに、優秀な人材が集まるようにしないと、国益を損ないますよ。
この国益は、国家利益ではなく、国民利益ですから、誤解なきよう。