【読書】でも電通だし:『僕が電通を辞める日に絶対伝えたかった79の仕事の話』本田亮:2013年8月2日
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最近、本屋に行く機会が減っている。
本はブログで紹介されていたものや、Facebookで紹介されていたものをアマゾンで買うというパターンになってしまう。
それでも結構面白い本を買うことになるけれど、やはり「店頭で出会う」という偶然にはかなわない。
こんな本があったのかと思う時の衝撃は大きいし、そういう本から学んでいるようにも思う。
この本は、先日久しぶりに銀座の書店に入って、プラプラしていた時に見つけて買った本。
著者の本田亮さんといえば環境問題の絵本で一時代を画した人というのが私の印象。
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もう20年くらいまえなんだね。
電通のクリエイティブにいた事は知っていたけど、結局局長まで務めて退職されていたとは知らなかった。
しかも、あの震災時に毎日洗脳されるように流れていた「こだまでしょうか」などの作品を作って、あの怒涛の広告自粛の中でAC広告に差し替える作業をしていたとは。
そして、「ピッカピカの一年生」などの有名広告の人だったとは。
まあ、私がモノを知らないだけなのだけど、そういう人が後輩に向けて語った講演の内容を踏まえた79の話と聞くと、「説教」か「自慢」か「内緒話」だと思いそうだけど、そういう点もないとは言わないが、実に面白い内容になっている。
それは、本田さんが上からじゃなくて、下から語ることに徹しているからで、実は、まさにできる仕事術満載なのだけど、そんな匂いがしないところが、本田流なのだろう。
帯にあるように「みんながみんな孫正義やスティーブ/ジョブズになりたいわけじゃないと思う。」というあたりの目の付け所が素晴らしい。
「意識高い系」とか「世界一を目指す」とか「社会起業家」とか、そういうんじゃなくて、大企業に運良く入ったらば、どうすれば居続けられるか、ということが書いてある本だ。
その意味では、前に紹介した「二流」というのと似ているかもしれない。
関連エントリ:【読書】二流という「生き方」はありだと思う:『二流で行こう』ナガオカケンメイ
この国は、トップダウンでもボトムアップでもなく、中流が落とし所を探る社会として長く動いてきた。
その良いところがなかなか見えないまま、悪いところばかりをあげつらい、国際競争に勝つためには削ぎ落とさなければならないもののようにスピードアップ、グローバルという言葉が叫ばれている。
でも、体がついて行かないものは、やはり副作用が大きい。
トップダウンでもなくボトムアップでもないやり方が、この本の中にあるといえるかもしれない。
成功した人(本田さんはそう言わないかもしれないけど、だって電通だし)の話を読むのも悪くない。
でも、私自身が、今の社会になんとなく、そういう点を気にしているから目に着いたのだろうけど、こういう頑張り過ぎないけど生きてこれたよ的な本て、結局時代が良かったんじゃないの?と言われそうな気もする。
確かに、本田さんは電通を早期退職だからね。乗り切ったね。
いい時代に先輩に恵まれたよね。そして、後輩たちは大変だよね。
だからこそ、伝えたいことなのだろうけど。
それは電通だけじゃないものがあるから紹介しているのだけどね。
若手社員必読と書いてあるけど、30~40歳くらいの人が読むといいと思う。
その人達にはもう遅いかもしれないけど、こういう考え方で下は来るよというような予感として。
そんな本です。
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